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11月24日-01号

  • 洋上風力発電 固定資産税(/)
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  1. 宮城県議会 2021-11-24
    11月24日-01号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    令和 3年 11月 定例会(第381回)          第三百八十一回宮城県議会(定例会)会議録                              (第一号)令和三年十一月二十四日(水曜日)  午後一時開会  午後四時十一分散会      議長                     石川光次郎君      議長                     菊地恵一君      副議長                    外崎浩子君出席議員(五十九名)      第一番                    金田もとる君      第二番                    佐々木奈津江君      第三番                    小畑きみ子君      第四番                    石田一也君      第五番                    伏谷修一君      第六番                    松本由男君      第七番                    柏 佑賢君      第八番                    福井崇正君      第九番                    渡邉重益君      第十番                    大内真理君     第十一番                    福島かずえ君     第十二番                    三浦ななみ君     第十三番                    枡 和也君     第十四番                    佐藤仁一君     第十五番                    わたなべ 拓君     第十六番                    伊藤吉浩君     第十七番                    八島利美君     第十八番                    瀬戸健治郎君     第十九番                    櫻井正人君     第二十番                    村上久仁君    第二十一番                    高橋宗也君    第二十二番                    庄田圭佑君    第二十三番                    天下みゆき君    第二十四番                    三浦一敏君    第二十五番                    佐々木功悦君    第二十六番                    境 恒春君    第二十七番                    太田稔郎君    第二十八番                    高橋 啓君    第二十九番                    遠藤伸幸君     第三十番                    横山のぼる君    第三十一番                    遠藤隼人君    第三十二番                    渡辺勝幸君    第三十三番                    横山隆光君    第三十四番                    佐々木賢司君    第三十五番                    守屋守武君    第三十六番                    外崎浩子君    第三十七番                    池田憲彦君    第三十八番                    佐々木幸士君    第三十九番                    熊谷義彦君     第四十番                    岸田清実君    第四十一番                    渡辺忠悦君    第四十二番                    菅間 進君    第四十三番                    坂下 賢君    第四十四番                    ゆさみゆき君    第四十五番                    吉川寛康君    第四十六番                    伊藤和博君    第四十七番                    村上智行君    第四十八番                    高橋伸二君    第四十九番                    菊地恵一君     第五十番                    佐々木喜藏君    第五十一番                    石川光次郎君    第五十二番                    中島源陽君    第五十三番                    本木忠一君    第五十四番                    中山耕一君    第五十五番                    安藤俊威君    第五十六番                    畠山和純君    第五十七番                    仁田和廣君    第五十八番                    藤倉知格君    第五十九番                    中沢幸男君-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    佐野好昭君      副知事                    遠藤信哉君      公営企業管理者                櫻井雅之君      総務部長                   大森克之君      復興・危機管理部長              佐藤達哉君      企画部長                   志賀真幸君      環境生活部長                 鈴木秀人君      保健福祉部長                 伊藤哲也君      経済商工観光部長               千葉隆政君      農政部長                   宮川耕一君      水産林政部長                 佐藤 靖君      土木部長                   佐藤達也君      会計管理者兼出納局長             佐藤靖彦君      総務部参事兼秘書課長             石川佳洋君      総務部財政課長                鈴木雄貴君    教育委員会      教育長                    伊東昭代君      副教育長                   布田秀一君    選挙管理委員会      委員長                    皆川章太郎君      事務局長                   諸星久美子君    人事委員会      委員長                    千葉裕一君      事務局長                   吉田信幸君    公安委員会      委員                     山口哲男君      警察本部長                  猪原誠司君      総務部長                   佐藤宏樹君    労働委員会      事務局長                   高橋裕喜君    監査委員      委員                     成田由加里君      事務局長                   林  毅君-----------------------------------    議会事務局      事務局長                   阿部正直君      副事務局長兼総務課長             藤田信治君      議事課長                   菅原敏彦君      参事兼政務調査課長              川村 満君      副参事兼総務課総括課長補佐          砂金義徳君      議事課副参事兼総括課長補佐          二上秀幸君      政務調査課総括課長補佐            長谷川共子君      議事課長補佐(班長)             田村和江君      議事課主任主査(副班長)           狩野嘉孝君-----------------------------------    議事日程 第一号              令和三年十一月二十四日(水)午後一時開議第一 議席の指定及び変更第二 会議録署名議員の指名第三 会期の決定について第四 議第二百三号議案 令和三年度宮城県一般会計補正予算第五 議第二百四号議案 行政機関設置条例の一部を改正する条例第六 議第二百五号議案 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例第七 議第二百六号議案 特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例第八 議第二百七号議案 手数料条例の一部を改正する条例第九 議第二百八号議案 宮城県県条例の一部を改正する条例第十 議第二百九号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例第十一 議第二百十号議案 住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例第十二 議第二百十一号議案 選挙長等の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例第十三 議第二百十二号議案 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時基金条例の一部を改正する条例第十四 議第二百十三号議案 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律施行条例の一部を改正する条例第十五 議第二百十四号議案 特定地域看護師確保対策修学資金貸付条例の一部を改正する条例第十六 議第二百十五号議案 家畜伝染病予防法施行条例の一部を改正する条例第十七 議第二百十六号議案 公安委員会関係手数料条例の一部を改正する条例第十八 議第二百十七号議案 当せん金付証票の発売限度額について第十九 議第二百十八号議案 市の境界変更について(登米市と栗原市)第二十 議第二百十九号議案 指定管理者の指定について(宮城県宮城野原公園総合運動場(宮城球場及び駐車場以外の施設))第二十一 議第二百二十一号議案 指定管理者の指定について(宮城県仙南総合プール)第二十二 議第二百二十三号議案 指定管理者の指定について(宮城県蔵王野鳥の森自然観察センター)第二十三 議第二百二十四号議案 指定管理者の指定について(宮城県クレー射撃場)第二十四 議第二百二十五号議案 指定管理者の指定について(宮城県県民の森)第二十五 議第二百二十六号議案 指定管理者の指定について(宮城県昭和万葉の森)第二十六 議第二百二十七号議案 指定管理者の指定について(宮城県慶長使節船ミュージアム)第二十七 議第二百二十八号議案 指定管理者の指定について(宮城県民間非営利活動プラザ)第二十八 議第二百二十九号議案 指定管理者の指定について(宮城県援護寮)第二十九 議第二百三十号議案 指定管理者の指定について(宮城県御崎野営場)第三十 議第二百三十一号議案 指定管理者の指定について(松岩漁港の指定施設)第三十一 議第二百三十二号議案 指定管理者の指定について(日門漁港の指定施設)第三十二 議第二百三十三号議案 指定管理者の指定について(塩釜漁港の指定施設(物揚場、岸壁、護岸及び桟橋横泊地))第三十三 議第二百三十四号議案 指定管理者の指定について(塩釜漁港の指定施設(越の浦泊地))第三十四 議第二百三十五号議案 指定管理者の指定について(女川漁港の指定施設(南防波堤横泊地及び物揚場護岸横泊地))第三十五 議第二百三十六号議案 指定管理者の指定について(仙台塩釜港仙台港区湾環境整備施設(中央公園及びリバーウォーク))第三十六 議第二百三十七号議案 指定管理者の指定について(改良県営住宅、地区施設及び改良住宅駐車場並び特定公共賃貸住宅及び駐車場)第三十七 議第二百三十八号議案 指定管理者の指定について(宮城県婦人会館)第三十八 議第二百三十九号議案 訴えの提起について第三十九 議第二百四十号議案 地方独立行政法人宮城県立こども病院が達成すべき業務運営に関する目標を定めることについて第四十 議第二百四十一号議案 財産の取得について(産業教育装置(CAD/CAMシステム)一式)第四十一 議第二百四十二号議案 財産の取得について(情報通信機器(タブレット端末等)一式)第四十二 議第二百四十三号議案 財産の取得について(警察無線機(IPR形警察移動無線機)一式)第四十三 議第二百四十四号議案 工事請負変更契約の締結について(大島地区海岸護岸等災害復旧工事(その三))第四十四 議第二百四十五号議案 工事請負変更契約の締結について(大沢川護岸等災害復旧工事(その三))第四十五 議第二百四十六号議案 工事請負変更契約の締結について(東名地区海岸護岸等災害復旧工事(その七))第四十六 議第二百四十七号議案 工事請負変更契約の締結について(大島地区海岸護岸等災害復旧工事(その五))第四十七 議第二百四十八号議案 権利の放棄について第四十八 報告第六十五号 専決処分の報告について(主要地方道築館登米線佐沼道路改築工事の委託契約の変更)第四十九 報告第六十六号 専決処分の報告について(一般国道三百九十八号東内海橋等災害復旧工事の請負契約の変更)第五十 報告第六十七号 専決処分の報告について(追波沢川等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第五十一 報告第六十八号 専決処分の報告について(都市計画道路門脇流留線捨喰橋(仮称)新設(上部工)工事の請負契約の変更)第五十二 報告第六十九号 専決処分の報告について(和解及び損害賠償の額の決定)第五十三 報告第七十号 専決処分の報告について(県営住宅の明渡請求等に係る訴えの提起)第五十四 報告第七十一号 専決処分の報告について(交通事故に係る和解及び損害賠償の額の決定)第五十五 議第二百二十号議案 指定管理者の指定について(宮城県第二総合運動場(宮城県仙南総合プール及び宮城県長沼ボート場以外の施設))第五十六 議第二百二十二号議案 指定管理者の指定について(宮城県総合運動公園(宮城スタジアム宮城スタジアム補助競技場、投てき場、総合体育館、総合プール、テニスコート及び合宿所並びにそれらの周辺の公園施設並びに宮城県サッカー場))第五十七 大震災復興調査特別委員会調査結果報告第五十八 鳥獣被害対策調査特別委員会調査結果報告第五十九 自然災害対策調査特別委員会調査結果報告第六十 再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会調査結果報告第六十一 地域再生・活性化対策調査特別委員会調査結果報告第六十二 議会運営委員の選任第六十三 常任委員の選任第六十四 予算特別委員会設置-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 議席の指定及び変更二 日程第二 会議録署名議員の指名三 日程第三 会期の決定について四 日程追加 議長辞職許可について五 日程追加 議長の選挙六 日程第四ないし日程第五十四       議第二百三号議案ないし議第二百十九号議案、議第二百二十一号議案、議第二百二十三号議案ないし議第二百四十八号議案及び報告第六十五号ないし報告第七十一号七 日程第五十五及び日程第五十六       議第二百二十号議案及び議第二百二十二号議案八 日程第五十七 大震災復興調査特別委員会調査結果報告九 日程第五十八 鳥獣被害対策調査特別委員会調査結果報告十 日程第五十九 自然災害対策調査特別委員会調査結果報告十一 日程第六十 再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会調査結果報告十二 日程第六十一 地域再生・活性化対策調査特別委員会調査結果報告十三 日程第六十二 議会運営委員の選任十四 日程第六十三 常任委員の選任十五 日程第六十四 予算特別委員会設置----------------------------------- △開会(午後一時) ○議長(石川光次郎君) 第三百八十一回宮城県議会を開会いたします。----------------------------------- △開議 ○議長(石川光次郎君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。----------------------------------- △新議員紹介 ○議長(石川光次郎君) 先般の県議会議員補欠選挙において当選されました新議員を御紹介いたします。 伏谷修一君。(拍手) 池田憲彦君。(拍手)----------------------------------- △議席の指定及び変更 ○議長(石川光次郎君) 日程第一、議席の指定及び変更を行います。 宮城県議会会議規則第五条第二項及び第三項の規定により、お手元に配布のとおり、議席の指定及び変更をいたします。……………………………………………………………………………………………    議席の指定及び変更                     令和三年十一月二十四日(水) 伏谷修一君を五番に、松本由男君を六番に、 柏佑賢君を七番に、福井崇正君を八番に、 渡邉重益君を九番に、わたなべ拓君を十五番に、 伊藤吉浩君を十六番に、八島利美君を十七番に、 瀬戸健治郎君を十八番に、櫻井正人君を十九番に、 村上久仁君を二十番に、高橋宗也君を二十一番に、 庄田圭佑君を二十二番に、遠藤隼人君を三十一番に、 渡辺勝幸君を三十二番に、横山隆光君を三十三番に、 佐々木賢司君を三十四番に、守屋守武君を三十五番に、 外崎浩子君を三十六番に、池田憲彦君を三十七番に、 佐々木幸士君を三十八番に、村上智行君を四十七番に、 高橋伸二君を四十八番に、菊地恵一君を四十九番に、 佐々木喜藏君を五十番に、石川光次郎君を五十一番に、 中島源陽君を五十二番に、本木忠一君を五十三番に、 中山耕一君を五十四番にそれぞれ指定及び変更する。-----------------------------------会議録署名議員の指名 ○議長(石川光次郎君) 日程第二、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、四十四番ゆさみゆき君、四十五番吉川寛康君を指名いたします。----------------------------------- △表彰状伝達 ○議長(石川光次郎君) 御報告いたします。 十月二十八日に開催されました全国都道府県議会議長会定例総会において、議員在職三十年以上、十五年以上及び十年以上の永年勤続功労者として表彰された方々がおられます。 心からお祝いを申し上げます。 ただいまから、表彰状及び記念品の伝達を行います。 ◎議会事務局議事課長(菅原敏彦君) それでは、表彰状と記念品の伝達を受けられる方々のお名前を申し上げますので、御登壇をお願いいたします。 初めに、在職三十年以上の方を申し上げます。藤倉知格殿。    〔藤倉知格君登壇〕 ○議長(石川光次郎君)     表彰状                   藤倉知格殿 あなたは宮城県議会議員として在職三十年以上に及び地方自治の発展に努力された功績はまことに顕著であります よってここにその功労をたたえ表彰します    令和三年十月二十八日                    全国都道府県議会議長会                               (拍手) ◎議会事務局議事課長(菅原敏彦君) 次に、在職十五年以上の方を申し上げます。佐々木喜藏殿。    〔佐々木喜藏君登壇〕 ○議長(石川光次郎君)     表彰状                   佐々木喜藏殿 あなたは宮城県議会議員として在職十五年以上に及び地方自治の発展に努力された功績はまことに顕著であります よってここにその功労をたたえ表彰します    令和三年十月二十八日                    全国都道府県議会議長会                               (拍手) ◎議会事務局議事課長(菅原敏彦君) 次に、在職十年以上の方々を申し上げます。太田稔郎殿。    〔太田稔郎君登壇〕 ○議長(石川光次郎君)     表彰状                   太田稔郎殿 あなたは宮城県議会議員として在職十年以上に及び地方自治の発展に努力された功績はまことに顕著であります よってここにその功労をたたえ表彰します    令和三年十月二十八日                    全国都道府県議会議長会                               (拍手) ◎議会事務局議事課長(菅原敏彦君) 境恒春殿。    〔境 恒春君登壇〕
    ○議長(石川光次郎君)     表彰状                   境 恒春殿 以下同文でございます。                               (拍手) ◎議会事務局議事課長(菅原敏彦君) 三浦一敏殿。    〔三浦一敏君登壇〕 ○議長(石川光次郎君)     表彰状                   三浦一敏殿 以下同文でございます。                               (拍手) ◎議会事務局議事課長(菅原敏彦君) 天下みゆき殿。    〔天下みゆき君登壇〕 ○議長(石川光次郎君)     表彰状                   天下みゆき殿 以下同文でございます。                               (拍手) 以上をもって、伝達を終わります。----------------------------------- △諸報告 ○議長(石川光次郎君) 御報告いたします。 地方自治法第百二十一条の規定により、お手元に配布のとおり、議場出席者の通知がありました。 公安委員会委員長森山博君から本日欠席、公安委員会委員山口哲男君が代理出席する旨の届出がありました。……………………………………………………………………………………………    議場出席者名簿               第381回県議会(令和3年11月定例会)    知事                     村井嘉浩    副知事                    佐野好昭    副知事                    遠藤信哉    公営企業管理者                櫻井雅之    総務部長                   大森克之    復興・危機管理部長              佐藤達哉    企画部長                   志賀真幸    環境生活部長                 鈴木秀人    保健福祉部長                 伊藤哲也    経済商工観光部長               千葉隆政    農政部長                   宮川耕一    水産林政部長                 佐藤 靖    土木部長                   佐藤達也    会計管理者兼出納局長             佐藤靖彦    総務部参事兼秘書課長             石川佳洋    総務部財政課長                鈴木雄貴  教育委員会    教育長                    伊東昭代    副教育長                   布田秀一  選挙管理委員会    委員長                    皆川章太郎    事務局長                   諸星久美子  人事委員会    委員長                    千葉裕一    事務局長                   吉田信幸  公安委員会    委員長                    森山 博    警察本部長                  猪原誠司    総務部長                   佐藤宏樹  労働委員会    事務局長                   高橋裕喜  監査委員    委員                     成田由加里    事務局長                   林  毅----------------------------------- △会期の決定 ○議長(石川光次郎君) 日程第三、会期の決定についてを議題といたします。 お諮りいたします。 今回の会期は、本日から十二月十五日までの二十二日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、会期は二十二日間と決定いたしました。 暫時休憩いたします。    午後一時十分休憩-----------------------------------    午後一時二十九分再開 ○副議長(外崎浩子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。----------------------------------- △議長辞職許可について ○副議長(外崎浩子君) 御報告いたします。 議長石川光次郎君から、議長の辞職願が提出されました。 お諮りいたします。 この際、議長辞職許可についてを日程に追加し、直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(外崎浩子君) 御異議なしと認めます。 よって、議長辞職許可についてを日程に追加し、直ちに議題とすることに決定いたしました。 議長辞職許可についてを議題といたします。 お諮りいたします。 石川光次郎君の議長辞職を許可することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(外崎浩子君) 御異議なしと認めます。 よって、石川光次郎君の議長辞職は許可されました。 この際、石川光次郎君から、御挨拶を申し上げたいとの申出がありますので、発言を許可します。五十一番石川光次郎君。    〔五十一番 石川光次郎君登壇〕 ◆五十一番(石川光次郎君) 議長退任に当たりまして、皆様への御礼を申し上げる機会を賜り、心より感謝申し上げます。 令和元年十一月二十五日に、皆様の御賛同を賜り、第四十四代宮城県議会議長に就任させていただき、今日まで議長職を務めさせていただきました。この間、議員各位はもちろんのこと、村井知事をはじめ執行部の皆様から多大なる御理解と御協力を賜るとともに、齋藤元副議長、そして外崎副議長の力強く温かいお支えにより、議長としての重責を果たすことができたものと考えております。改めまして、皆様に心より御礼を申し上げます。ありがとうございます。 さて、この二年間を顧みますと、東日本大震災から十年が経過しハード面においては多くの取組が完了しつつありますが、被災地では様々な課題が残されておりソフト面を中心に地域の実情に応じた対応は今後も必要でございます。 また、昨今の新型コロナウイルス感染症の流行により県内の社会経済活動は大きな影響を受けております。医療体制の充実やワクチン接種の徹底など関係各位の御努力により感染症は以前に比べて落ち着きを見せつつありますが、飲食業や観光業を中心とした各産業事業者への影響はいまだ深刻な状況であります。我が県議会におきましても、昨年来、非常に困難な議会運営を迫られましたが、議員各位の御努力と執行部の御協力の下、徹底した感染防止対策を講じ臨時議会の開催や補正予算への対応などを行い無事ここまで議会を運営することができましたこと、重ねて御礼を申し上げる次第であります。 新型コロナウイルス感染症の一日も早い収束、東日本大震災からの復興と更なる発展、そしてまた、県民が安心して暮らしていける地域社会の実現に向けて、県議会に課せられる使命は今後ますます大きくなっていくものと思われます。皆様方におかれましては、宮城県議会が更に充実発展し、その使命を果たしていくために新しい議長を引き続きお支えいただきますよう心からお願いをするところでもございます。 結びに、議員の皆様、そして執行部の皆様の今後ますますの御活躍を祈念申し上げ、議長退任に対する挨拶とさせていただきます。 二年間大変お世話になりました。誠にありがとうございました。(拍手)----------------------------------- △議長の選挙 ○副議長(外崎浩子君) お諮りいたします。 議長が欠員になりましたので、この際、日程に追加して、直ちに議長の選挙を行いたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(外崎浩子君) 御異議なしと認めます。 よって、日程に追加し、直ちに議長の選挙を行うことに決定いたしました。 議長の選挙を行います。 選挙は、投票により行います。 議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕 ○副議長(外崎浩子君) ただいまの出席議員数は、五十九名であります。 お諮りいたします。 宮城県議会会議規則第三十一条第二項の規定により、立会人に、二十二番庄田圭佑君、二十八番高橋啓君を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(外崎浩子君) 御異議なしと認めます。 よって、立会人に、二十二番庄田圭佑君、二十八番高橋啓君を指名いたします。 念のため申し上げます。 投票は、単記無記名であります。投票用紙に被選挙人の氏名を記載の上、職員の点呼に応じ、順次投票願います。 投票用紙を配布いたします。    〔投票用紙配布〕 ○副議長(外崎浩子君) 投票用紙の配布漏れはありませんか。--配布漏れなしと認めます。 投票箱を改めます。--異状なしと認めます。 これより投票を行います。 職員に点呼を命じます。 ◎議会事務局議事課長(菅原敏彦君) 一番。二番。三番。四番。五番。六番。七番。八番。九番。十番。十一番。十二番。十三番。十四番。十五番。十六番。十七番。十八番。十九番。二十番。二十一番。二十二番。二十三番。二十四番。二十五番。二十六番。二十七番。二十八番。二十九番。三十番。三十一番。三十二番。三十三番。三十四番。三十五番。三十七番。三十八番。三十九番。四十番。四十一番。四十二番。四十三番。四十四番。四十五番。四十六番。四十七番。四十八番。四十九番。五十番。五十一番。五十二番。五十三番。五十四番。五十五番。五十六番。五十七番。五十八番。五十九番。三十六番。 ○副議長(外崎浩子君) 投票漏れはありませんか。--投票漏れなしと認めます。 投票を終了いたします。 これより開票を行います。 立会人の立ち会いをお願いいたします。    〔開票〕 ○副議長(外崎浩子君) 選挙の結果を御報告いたします。 投票総数五十九票、有効投票五十六票。無効投票三票。 有効投票中、    菊地恵一君     四十票    ゆさみゆき君    十六票 以上のとおりであります。 この選挙の法定得票数は、十四票であります。 よって、菊地恵一君が議長に当選されました。 議場の閉鎖を解きます。    〔議場開鎖〕 ○副議長(外崎浩子君) ただいま議長に当選されました菊地恵一君が議場におられますので、本席から、宮城県議会会議規則第三十二条第二項の規定により、当選の告知をいたします。 議長に当選されました菊地恵一君から御挨拶があります。    〔四十九番 菊地恵一君登壇〕 ◆四十九番(菊地恵一君) ただいま議員の皆様方の御賛同を賜り、第四十五代宮城県議会議長に御推挙を賜りましたこと、誠に光栄の至りであり、議長として果たさなければならない責任の重さと与えられた課題の大きさに改めて身の引き締まる思いをいたしております。 さて、未曽有の被害をもたらした東日本大震災の発生から今年の三月で十年が経過いたしました。これまでの着実な取組により、生活に密着したインフラの整備や災害に強いまちづくり、そして、震災遺構、伝承施設などハード面においては多くの地域で取組が完了しつつあります。一方、心のケアや地域コミュニティーづくりなどのソフト面におきましては中長期的な対応が必要であり、一人一人に寄り添った細やかな支援が今後も求められております。また、人口減少や少子高齢化、自然災害の激甚化など社会情勢の急激な変化に加え、昨今の新型コロナウイルス感染症の流行により復興途上にある被災地の産業やなりわいは深刻な影響を受けており、このような喫緊の課題に対応していくために県議会が果たすべき役割は今後ますます大きくなっていくものと考えております。 私といたしましては、これまで歴代議長並びに議員各位が築いてこられました宮城県議会の伝統と権威を引き継ぎ、県民の負託と信頼にしっかりと応え、議会としての使命を全うすべく全身全霊で取り組んでまいる所存でございます。 結びに、議員の皆様、そして村井知事をはじめ執行部の皆様方のなお一層の御支援、そして御鞭撻をお願い申し上げまして、議長就任の挨拶とさせていただきます。 どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手) ○副議長(外崎浩子君) ここで、議長と交代いたします。    〔副議長退席・議長着席〕 ○議長(菊地恵一君) 暫時休憩いたします。    午後一時五十五分休憩-----------------------------------    午後二時二十分再開 ○議長(菊地恵一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。----------------------------------- △議第二百三号議案ないし議第二百十九号議案・議第二百二十一号議案 △議第二百二十三号議案ないし議第二百四十八号議案 △報告第六十五号ないし報告第七十一号 ○議長(菊地恵一君) 日程第四ないし日程第五十四、議第二百三号議案ないし議第二百十九号議案、議第二百二十一号議案、議第二百二十三号議案ないし議第二百四十八号議案及び報告第六十五号ないし報告第七十一号を一括して議題といたします。 知事から提案理由の説明を求めます。知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 本日ここに第三百八十一回宮城県議会が開会され、令和三年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きと議案の概要を御説明申し上げます。 説明に先立ちまして、天皇皇后両陛下におかれましては、十月三日に我が県にオンラインで行幸啓になられ、第四十回全国豊かな海づくり大会に御臨席を賜りますとともに、大会終了後は東日本大震災で被災された方々や復興に尽力する方々と懇談され、お見舞いと激励のお言葉を頂戴いたしました。ここに県民を代表して謹んで御礼を申し上げます。 一年の延期を経ての開催となった今回の大会は、新型コロナウイルス感染症の影響により規模の縮小を余儀なくされましたが、復興が進む我が県水産業の姿や全国から寄せられた支援への感謝の気持ちを発信することができました。関係者の皆様に改めて感謝を申し上げます。 また、先ほど御披露と伝達がありました藤倉知格議員、佐々木喜藏議員、太田稔郎議員、境恒春議員、三浦一敏議員、天下みゆき議員におかれましては、長年にわたり地方自治の発展に尽力された御功績により全国都道府県議会議長会から表彰をお受けになりました。県民の皆様と共に心からお祝い申し上げ多年の御功労に対しまして深く敬意を表するものであります。なお一層御自愛の上、県勢発展のため今後とも御活躍いただきますよう御期待申し上げます。 それでは御説明いたします。 私は、この度の知事選挙におきまして県民の皆様からの御支持を賜り、引き続き県政のかじ取り役を務めさせていただくことになりました。感染防止対策を徹底した上での選挙活動はこれまでと大きく様相が異なり、自らの思いをどのように伝えるか試行錯誤を重ねながらの毎日が続きましたが、県内各地に足を運び東日本大震災からの復興に歩み続けてきた我が県の今の姿をこの目に焼き付けながら、県民の皆様の幅広い声に耳を傾け今後の目指すべき方向性について認識を新たにした期間でもありました。 これからの四年間は、新・宮城の将来ビジョンの計画期間の前半に当たります。私はこの選挙期間中、目下最大の課題である新型コロナウイルス感染症への対応に加え、新ビジョンをベースに県民の皆様と多岐にわたるお約束をいたしました。特に新たな柱に位置づけた社会全体で支える宮城の子ども・子育てについては、関連施策を持続的に展開することを可能とするための基金の造成や子供を希望する夫婦を対象とした不妊治療に対する県の独自支援などを新たな取組として掲げております。家族の形態や地域におけるつながりなど家庭を取り巻く状況は以前と比べ大きく変化しており、社会全体で子育て世代を支える環境づくりは急務の課題となっております。我が県の合計特殊出生率は全国を大きく下回る厳しい状況が続いておりますが、安定的な財源の確保と並行して多様な支援策を整え子供を生み育てやすい社会の実現に全力を尽くしてまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。先月末までとしていたリバウンド防止徹底期間は、感染状況や病床の使用状況が大きく改善したことなどを踏まえ予定どおり終了いたしました。様々な場面で感染防止対策に御理解をいただいた県民の皆様、大規模接種会場をはじめとする県内各地におけるワクチン接種体制の構築に多大な御協力をいただいた医療従事者の皆様に対し、改めて御礼を申し上げます。今月に入ってからも、これまでのところ新規患者の発生が低く抑えられている状況に大きな変化は見られませんが、県としても今後の推移には最大限の注意を払い、仮に再拡大につながる予兆が現れた際には速やかな対策を講じることができるよう十分な備えを継続してまいりますので、県民の皆様におかれましては日常生活における感染防止対策について引き続き御理解と御協力をお願いいたします。 また、経済活動の回復に向けた取組として、飲食店への営業時間短縮要請等の影響を受けた関連事業者に対する支援金の受付を継続しているほか、先月十五日からは認証を受けた県内飲食店で利用できる食事券の販売を開始するとともに、大きく落ち込んだ観光・宿泊需要の喚起策として、県民を対象とした地域限定クーポンつき宿泊割引を開始いたしました。長期間にわたる外出や移動の制限により経済活動に大きな打撃を受けた皆様に今回の事業による効果が十分に行き届くよう、しっかりと取り組んでまいります。 最近の経済情勢につきましては、日本銀行が先月発表した全国企業短期経済観測調査、いわゆる短観によると、大企業の製造業における業況判断指数は五期連続で改善したほか、都道府県別の業況判断において我が県は前回調査から三ポイントの改善となりました。一方、今後の見通しについてはワクチン接種の進展による需要回復への期待もある反面、製造業などにおける半導体不足や部品供給の制約などを懸念する声もあり、慎重な判断が必要な状況が続いております。国においては、新たな内閣の下で新型コロナウイルス感染症の拡大防止、社会経済活動の再開と危機管理の徹底、新しい資本主義の起動などを柱とするコロナ克服・新時代開拓のための経済対策を閣議決定したところであり、県としましても補正予算に関する今後の議論を注視するとともに機動的な対応に努めてまいります。 また、この秋に農家に支払われる本年産米の概算金は人口減少や食生活の変化といった要因に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大による業務用米を中心とする需要の低迷が重なったこともあり大幅な下落となりました。三年前の本格デビュー以降、着実に作付面積を拡大してきただて正夢の概算金は四千円を超える減額となるなど、生産現場には大きな衝撃が走っております。県においては相談窓口の設置や制度資金の周知など必要な支援に努めてきたところでありますが、東北農政局が公表した東北地方全体の作況指数はやや良となるなど余剰米の更なる増加要因もあり、営農継続に向けた生産現場への支援は焦眉の急となっております。このような状況を踏まえ、今回の補正予算案においては、収益性の高い農業への転換を図り安定した営農継続の実現に資する施策に幅広く予算を計上いたします。具体的には、中長期的な営農継続に向けた取組として園芸作物や飼料作物などへの作付転換に要する生産資材費や機械施設の導入経費を支援するほか、金のいぶきなど一般的な主食用米とは異なる需要を持つ品種の作付を推進いたします。また、本年産米に係る消費拡大に向けた取組として、インターネットを活用した販売支援や家庭向け商品の増量等による需要喚起策に加え、販路拡大に向けたキャンペーンの開催や子ども食堂等への県産米の提供を進めてまいります。さきの定例会でも多くの議員の皆様から緊急的な対応の必要性について御意見をいただいたところであり、ただいま申し上げた一連の対策を講じることにより我が県の基幹産業である農業の持続的発展を支援してまいります。 県立がんセンターと県立精神医療センターにつきましては、我が県における政策医療の課題解決に向けた関係者による協議の中で今後の方向性を検討してきたところであり、先の定例会において仙台赤十字病院と県立がんセンターを統合するとともに、東北労災病院と県立精神医療センターを合築する方向で協議を開始することをお示しいたしました。その上で、今回の知事選挙においては、県政の重要課題に対する私の考えを県民の皆様にしっかりとお伝えした上で評価をいただくことを念頭に、前者は名取市において、後者は富谷市において、それぞれ開院を目指すことを政策集に掲げたところです。今後の議論に当たっては、県内における適切な医療資源の配置の観点のみならず、必要とされる施設の規模や交通環境など様々な条件を考慮する必要がありますが、少子高齢化や人口減少が急速に進展する中、地域医療の抱える多くの課題の解決に繋がるよう各設置主体のほか東北大学も含めた関係者による協議を重ねながら、在るべき姿について引き続き検討を進めてまいります。 先月公表された国の調査によると、昨年度における不登校の児童生徒の割合は全国的には増加しましたが、我が県においては中学校における割合が減少に転じました。全国との比較においては依然として高い状況であるものの、学び支援教室やみやぎ子どもの心のケアハウスなど、これまでの不登校支援の取組が徐々に成果となって現れてきているものと考えております。今後とも児童生徒にとって行きたくなる学校づくりに取り組むとともに、一人一人に寄り添った支援を更に充実させ民間施設等とも連携しながら多様な教育機会の確保に努めてまいります。 次に、今後の県政運営の基本的な考え方についてであります。先月策定した令和四年度政策財政運営の基本方針でお示しいたしましたとおり、我が県は被災者の心のケアをはじめとするきめ細かなソフト対策のほか、人口の本格的な減少局面を迎える中での持続可能な地域経済と地域社会の構築、大規模化・多様化する自然災害への備え、更には、県民生活にも大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症への対応など多くの課題に直面しております。このため、来年度は新型コロナウイルス感染拡大防止対策と社会経済活動の両立をはじめとする六つの政策推進の基本方向を掲げ、多様な主体と連携・協働しながら新型コロナウイルス感染症対策や復興完了に向けた施策に力を入れるとともに、富県宮城の推進など新・宮城の将来ビジョンに基づく取組を進めてまいります。特にデジタル技術を様々な分野で最大限に活用しながら県民サービスの向上や県内産業の活性化、働き方改革の推進を図るとともに、若者の県内定着や子供・子育てを社会全体で支える環境の整備、外国人材の受入れ促進に取り組んでまいります。 財政の見通しについては、国が公表した来年度の地方財政収支の仮試算において地方や地方交付が増加し、臨時財政対策債は折半対象財源不足額の解消に伴い大幅に抑制される見込みであるなど、今年度と比較すれば明るい要素もあるものの、地方交付は恒常的な財源不足が続いており、また、新型コロナウイルス感染症が今後の経済に与える影響には不透明な部分も多く、先行きは依然として楽観できるものではないと認識しております。 このような状況を踏まえ、来年度予算につきましては、新・宮城の将来ビジョンに掲げる施策に関し国の特例的な支援に加え、シーリングの設定など県自らも財源確保の取組を進めるとともに、デジタル技術の活用など事業効果の改善が期待できる取組について優先的に予算措置を講じてまいります。 今回御審議をお願いいたします補正予算案の主な内容ですが、新型コロナウイルス感染症対策関連では、先ほど御説明した外食需要の減少等による米価下落への対策として営農活動の継続と消費拡大に向けた取組を包括的に実施するとともに、仙台牛や県産水産物についても販売促進キャンペーンを展開するなど需要の落ち込みに対する下支えに努めてまいります。 また、緊急小口資金等の貸付原資を追加交付するとともに、公共土木工事の現場管理における接触機会の低減を図るための機材整備やオンライン会議の拡大に向けた環境づくりに要する経費を計上しております。 このほか、地方財政法に基づき令和二年度一般会計決算剰余金を財政調整基金に積み立てるとともに、河川管理や道路の除融雪など今年度末から来年度初めにかけて行う必要のある公共事業費や指定管理者制度による公共施設管理運営業務委託費について債務負担行為を設定しております。 なお、今年の人事委員会勧告は、一般職の職員の給与に関し月例給を据え置いた上で期末手当は引き下げることなどを内容とするものであり、その取扱いを慎重に検討した結果、期末手当の引下げについて勧告どおり実施することといたしました。あわせて、知事等の特別職に係る期末手当についても今回の検討経過を踏まえ引き下げることといたします。これらの内容を反映した条例の改正案を今議会に提案しているところでありますが、これに伴う人件費の減額につきましては今年度の最終補正予算において対応してまいります。 以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計、総会計ともに三百四十二億二千四百余万円となります。財源としては、繰越金二百七十六億七千九百余万円、繰入金四十三億一千三百余万円、国庫支出金二十一億二千余万円などを追加しております。 この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆二千六百七十八億七千四百余万円、総計で一兆七千百七十八億五千三百余万円となります。 次に、予算外議案については、条例議案十三件、条例外議案三十二件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。 まず、条例議案でありますが、議第二百四号議案は、保健所の専門性の確保を図るとともに災害発生時の対応に十全を期すため、大崎保健所及び石巻保健所の所管区域を拡大するとともに栗原圏域及び登米圏域に支所を設置しようとするもの、議第二百五号議案及び議第二百六号議案は、人事委員会の勧告を受け一般職の職員に係る期末手当を引き下げるとともに、これに準じて特別職の期末手当の支給割合を引き下げようとするもの、議第二百九号議案は、知事の権限に属する事務の一部を新たに市町村が処理できるようにしようとするもの、議第二百十五号議案は、知事が認定する獣医師が行う豚熱発生予防のためのワクチン注射について、その管理に要する手数料を定めようとするものであります。 次に、条例外議案でありますが、議第二百十七号議案は、令和四年度における自治宝くじの発売限度額について、議第二百十九号議案、議第二百二十一号議案及び議第二百二十三号議案ないし議第二百三十八号議案は、指定管理者の指定について、議第二百三十九号議案は、訴えの提起について、議第二百四十一号議案ないし議第二百四十三号議案は、財産の取得について、議第二百四十四号議案ないし議第二百四十七号議案は、工事請負変更契約の締結について、議第二百四十八号議案は、権利の放棄について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。 ○議長(菊地恵一君) 補正予算案に係る各部長説明要旨は、お手元に配布のとおりであります。 地方公務員法第五条第二項の規定に基づき、関係議案について県人事委員会の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり意見が提出されました。 ただいま議題となっております各号議案中、議第二百五号議案、議第二百六号議案及び議第二百四十四号議案ないし議第二百四十七号議案についての質疑に入ります。 質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。 議第二百五号議案、議第二百六号議案及び議第二百四十四号議案ないし議第二百四十七号議案につきましては、お手元に配布の議案付託表のとおり、それぞれ所管の委員会に付託いたします。……………………………………………………………………………………………                          宮人委第5018号                         令和3年11月24日 宮城県議会議長 石川光次郎殿                         宮城県人事委員会                           委員長 千葉裕一             条例案に対する意見について 令和3年11月24日付け宮議第318号で意見を求められた条例案に対する意見については,下記のとおりです。                   記 「議第205号議案 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」  この条例案は,本委員会がさきに行った「職員の給与等に関する報告及び給与に関する勧告」に沿って期末手当について所要の改正を行うとともに,勤務1時間当たりの給与額の算出方法を見直すものであり,適当と認めます。……………………………………………………………………………………………    議案付託表    第三百八十一回宮城県議会(十一月定例会)令和三年十一月二十四日議案番号件名提出年月日委員会議第二百五号議案職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例三・一一・二四総務企画議第二百六号議案特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例同総務企画議第二百四十四号議案工事請負変更契約の締結について(大島地区海岸護岸等災害復旧工事(その三))同建設企業議第二百四十五号議案工事請負変更契約の締結について(大沢川護岸等災害復旧工事(その三))同建設企業議第二百四十六号議案工事請負変更契約の締結について(東名地区海岸護岸等災害復旧工事(その七))同建設企業議第二百四十七号議案工事請負変更契約の締結について(大島地区海岸護岸等災害復旧工事(その五))同建設企業----------------------------------- △議第二百二十号議案・議第二百二十二号議案 ○議長(菊地恵一君) 日程第五十五及び日程第五十六、議第二百二十号議案及び議第二百二十二号議案を一括して議題といたします。 知事から提案理由の説明を求めます。知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 提出議案の概要を御説明する前に一点訂正させていただきます。 先ほどの提出議案の説明の際に、この秋に農家に支払われる本年産米の概算金と申し上げるところを来年産米の概算金と間違えて申し上げました。正しくは、この秋に農家に支払われる本年産米の概算金でございますので、訂正いたします。 それでは、提出議案の概要を御説明申し上げます。 議第二百二十号議案及び議第二百二十二号議案は、指定管理者の指定について、議会の議決を受けようとするものであります。 何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。-----------------------------------大震災復興調査特別委員会調査結果報告 ○議長(菊地恵一君) 日程第五十七、大震災復興調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。大震災復興調査特別委員長、五十番佐々木喜藏君。    〔五十番 佐々木喜藏君登壇せず〕 ○議長(菊地恵一君) 暫時休憩いたします。    午後二時四十三分休憩-----------------------------------    午後二時四十五分再開 ○議長(菊地恵一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 大震災復興調査特別委員長、五十番佐々木喜藏君。    〔五十番 佐々木喜藏君登壇〕 ◆五十番(佐々木喜藏君) 大震災復興調査特別委員会の調査結果について、御報告申し上げます。 本委員会は、東日本大震災からの復旧・復興対策について、発災以降、県議会として積極的な調査特別委員会活動を継続し、被災地域や県民生活の再生に向けた活動について調査・検討するため、令和二年十二月十六日に設置されました。 付議事件、大震災復興に関する諸施策についてを受け、特に津波による甚大な被害を受けた沿岸被災地域を中心に復旧・復興に係る課題について重点的に調査を実施したほか、東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する補償状況や風評被害等について精力的に調査を実施してまいりました。 また、これらの調査で把握した課題等を取りまとめ、現状の課題の解消に資するべく、要望活動や意見交換を通じ国及び東京電力等への働きかけを重点的に行ってまいりました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、本県の東日本大震災からの復旧・復興への道のりは今後も続きます。時間の経過とともに顕在化・深刻化する様々な課題の的確な把握と残された課題の解消に向け、今後も同様の特別委員会を設置し県議会として課題の解消に向けた国等への働きかけを継続し、本県の震災からの復旧・復興の完遂に向けて全力を傾注すべきものと考えております。 以上、今後の県議会における被災地に根差した、より効果的な調査活動を期待して、御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………    大震災復興調査特別委員会報告書 大震災復興調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、東日本大震災からの復興に関する諸施策について調査・検討するため、令和二年十二月十六日に設置され、付議事件「大震災復興に関する諸施策について」を受け、調査活動を行った。一 はじめに 本委員会は、県議会として、東日本大震災の発災以降、積極的な調査特別委員会活動を継続しつつ、刻々と変化する被災地の状況に即応し、的確な実態把握を行うとともに、時宜を得た要望・要請活動等を行っていくものとし、特に次の二項目を重点活動等とした。 1 被災市町の復旧・復興状況の調査(主に市町議会及び首長等との意見交換並びに現地視察による)及び国等への要望・要請活動に重点的に取り組むほか、第二期復興・創生期間に向けた施策についての調査を行うこと。 2 東日本大震災からの復旧・復興の完遂に向けて、現状の課題を整理するとともに、東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「原発事故」という。)に起因する諸問題を始め、時間の経過とともに顕在化・深刻化する様々な課題に対して積極的に調査を行うこと。 以上のことを踏まえ、県関係部局から復興の進捗状況等を聴取するとともに、県内の現状と課題を把握するため、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)、東北大学及び宮城県漁業協同組合から参考人を招致し、意見を聴取した。 また、沿岸被災自治体三市一町や県内外の震災伝承施設、民間団体に対して調査を実施し、これらの調査活動で把握した課題等をまとめ、国等への要望活動や意見交換を行った。 その後、再び東京電力から参考人を招致し、意見を聴取した。 その概要は、次のとおりである。二 参考人意見聴取 1 令和三年四月二十二日(東京電力フェロー 新妻常正氏ほか四人) 新妻氏ほか四人は、原発事故に起因する損害賠償の概要と進捗状況及び今後の方針等について、また、福島第一原子力発電所(以下「原発」という。)の廃炉及び汚染水の現状と対策について、次のように述べた。 初めに、損害賠償関係については、三つの誓い(「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「和解仲介案の尊重」)に基づき、事故と相当因果関係のある損害が存在する限り賠償する方針であること、原発事故から十年が経過したが、消滅時効の完成後も請求者の個別事情を踏まえ、柔軟な対応をすることなどを述べた。 次に、廃炉に向けた使用済み燃料プールからの燃料の取り出しについて、一号機は残存する建屋カバーの解体に、二号機は建屋上部の作業場内の準備作業に着手し、三号機は令和三年二月に五百六十六体全ての燃料の取り出しが完了したと述べた。また、令和三年より開始予定であった、燃料デブリの取り出しは、新型コロナウイルス感染症の影響により海外でのロボットアームの開発が遅延しているが、工程遅延を一年程度にとどめるべく、工程の精査を行っていると述べた。 また、令和三年四月十三日に「廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議(第五回)」において、「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)が国から示されたことを踏まえ、東京電力の取り組むべき基本姿勢として、多核種除去設備等処理水(以下「ALPS処理水」という。)の海洋放出にあたっては、法令に基づく安全基準等の遵守はもとより、関連する国際法や国際慣行に基づきながら、人及び環境への放射線影響評価により、放出する水が安全な水であることを確実に確認し、公衆や周辺環境、農林水産物の安全を確保する等の対応を徹底して行っていくと述べた。 2 令和三年七月七日(東京電力フェロー 新妻常正氏ほか三人) 新妻氏ほか三人は、ALPS処理水の取扱いに関する海洋放出設備等の検討状況等について次のように述べた。 初めに、ALPS処理水の取扱いに関する海洋放出設備等の検討状況については、トリチウム、ALPS除去対象核種である六十二核種及び炭素十四の放射能濃度を、希釈放出前に適切な方法で測定・評価するため、「受入」・「測定・評価」・「放出」の三つの役割を持つサンプルタンク群を用意すると述べた。 次に、トリチウムの分離技術に関する幅広い調査や提案の受付を行う第三者機関を選定し、国内外を対象としたトリチウムの分離技術に関する調査や提案の受付を開始したと述べた。さらに、現実的に実用可能な技術が確認できた場合には、具体的な設計の検討や技術の実証試験などを行い、技術の確立を目指すと述べた。 3 令和三年十月七日(東京電力フェロー 新妻常正氏ほか四人) 新妻氏ほか四人は、ALPS処理水の取り扱いに関する検討状況等について、次のように述べた。 初めに、ALPS処理水の取扱いを含めた原発の廃炉の取組に関して、地域や社会の懸念を払拭し、理解を深めてもらえるよう、国内外に対し、迅速で正確かつ透明性の高い情報発信に努め、風評対策にも全力で取り組むと述べた。 加えて、今後予定される国際原子力機関(IAEA)によるALPS処理水の海洋放出に係る安全性確認(レビュー)の際には、政府を通じて情報提供や説明を丁寧に実施すると述べた。 ALPS処理水放出に伴い風評被害が発生した場合における賠償の基本的な考えとしては、あらかじめ賠償期間や地域、業種を限定することなく、個別の事情を丁寧に把握するとともに統計データの分析等からの推認等により被害者に負担をかけないよう柔軟な対応を行うと述べた。 さらに、宮城県における理解醸成と風評対策として、令和三年十月一日より、地域や社会の関心事項に沿った対応に向けた体制強化のため、専属の組織として仙台事務所を設置するとともに、関係者との対話・協議を通じた対策の充足・拡大を行うと述べた。 これらの意見聴取に関して、ALPS処理水の海洋放出により、復興途上の被災地が受けるダメージは大きく、海洋放出ありきではなく、海洋放出以外の処分方法についても引き続き検討し、トリチウム等を除去する方法の研究・開発に積極的に取り組むこと、関係機関に対する透明性のある情報公開・情報発信と説明責任を果たすことを求める意見が委員から出された。 4 令和三年五月二十五日(東北大学准教授 柴山明寛氏) 柴山氏からは、東日本大震災の伝承の現状及び課題について説明を受けた。 伝承とは、個々の体験したことを後世に伝えていく作業であり、東日本大震災での地震・津波の被害や災害の伝承のほか、災害から復興する過程において、水産業や農業、工業などの分野が、働き手が減少する中で、新しく六次産業化などにより蓄積した経験や教訓も伝承と捉えることができる。今後、過疎化や高齢化が進む社会で活用できる新たな伝承ともなり得るという観点で、伝承を考えることも重要であると述べた。 また、伝承の取組の継承は、巨大地震の発生が想定される南海トラフ地震などの大規模災害の対応時にも、経験や教訓等を生かすことを可能とし、ひいては、世界全体に共通した事前防災としての役割も果たすこともできると述べた。 次に、現在、伝承の活動を行っている団体や機関は五十以上存在しており、今後の活動の継続が課題として挙げられる。個々の特色を打ち出している各団体等が補完し合うことで、互いの存在の有効性をより高めることができることから、今後ますます連携が重要になると述べた。 また、各施設の持つ記録文書類や映像資料等の多様な情報であるデジタルアーカイブが十分に連携されておらず、また、連携をコーディネートできる人材が育っていないため、単発事業となりがちで、継続性が見えないことも課題である。災害の事実を正確に把握し、それにより得られた教訓を正しく理解することが必要であり、今後起こりうる様々な災害の場面で対応できる真の応用力を身に付けるためにも、伝承の担い手を育成する仕組み等を総合的に構築することが重要であると述べた。 5 令和三年五月二十五日(宮城県漁業協同組合 代表理事 寺沢春彦氏、ほか一人) 寺沢氏からは、原発におけるALPS処理水の処分に関する風評被害等の現状及び課題について説明を受けた。 県内の漁業者等は、新型コロナウイルス感染症の拡大による消費低迷により、水産物の価格の下落等の厳しい経営を強いられている現状にある中、令和三年四月十三日に国によるALPS処理水の海洋放出の方針が決定されたことは、漁業者等にとっては驚きと憤りをも飛び越え、怒りを覚えている。 海洋放出が決定された時点で、既に風評被害が発生していると言っても過言ではなく、消費者からは、安全性に対する疑問を抱いての問合せや、県産水産物に対する不安の声も多いと聞いている。 国の姿勢が、福島の復興と廃炉を基本方針としていることからも、風評の影響は、福島県以外は受けないと考えているようにも思え、県産水産物への風評被害に対して、国は東京電力にしっかり指導できるのか、責任を持って対応してもらえるのか不安である。 漁業者に対する説明責任も十分に果たさない中で、漁業者の意見を無視した方針の決定には、希望の光すら見えず、国の原子力政策の誤りを漁業者に責任転嫁するもので、当事者意識に欠けていると言わざるを得ないと述べた。三 県内外調査 本委員会は、令和三年七月十五日、同二十八日及び同年八月二十六日の三日間、県内外調査を実施した。 被災地域における震災からの復旧・復興に係る課題を把握するため、津波により特に甚大な被害を受けた沿岸市町を対象とし、当該市町内の主な震災復旧・復興関連の概要説明を受け、当該市町議会議員等と意見交換を行ったほか、東松島市の事業者や石巻市及び岩手県陸前高田市の伝承施設及び伝承団体から事業概要等について説明を受けた。その実施状況は、次のとおりである。 1 七月十五日 あおい地区会(東松島市)、小規模多機能型居宅介護いろどりの丘(東松島市)、東松島市、みやぎ東日本大震災津波伝承館(石巻市)、三.一一みらいサポートMEET門脇(石巻市) 2 七月二十八日 東日本大震災津波伝承館(岩手県陸前高田市)、気仙沼市 3 八月二十六日 石巻市、女川町 これらの調査時における主な発言は次のとおりである。 一点目は、「移転元地の利活用について」である。防災集団移転促進事業により被災市町が買い取った移転元地は、複雑な地形を有し集約できない小規模の土地が点在しており、さらに公有地と民有地が混在しているため、有効活用が難しく、長期的な観点での取組が必要である。また、固定資産税の減収や維持管理費の負担等の財源の確保のほか、地域の実情に合った土地利用の推進ができる支援制度の創設などが課題となっている。 二点目は、「災害公営住宅の利活用について」である。被災市町では、災害公営住宅等の有効活用策として、老朽化が著しい既存市営住宅の早期集約、移住者等を対象とした入居要件の緩和、払下げの促進を進める等の利活用を図っている。また、被災者に対し仮設住宅からの早期移転を促し、被災市町独自で家賃減免を実施する等の施策を講じているが、災害公営住宅の空室の増加、入居者の高齢化による団地会運営の継続困難などが課題となっている。 三点目は、「災害援護資金貸付金制度に係る償還金の免除等について」である。令和元年度以降、償還が本格化しているが、諸々の理由により約定の部分償還が滞納に至るケースが増えており、償還金の支払い猶予を適用し、借受人の償還期間の延長等の措置を講じている。今後も借受人の転職等やコロナ禍における事業低迷等による収入減少が見込まれ、償還猶予先の増加も懸念される。令和元年度に災害弔慰金の支給等に関する法律が改正され、破産手続き開始又は再生手続き開始の決定時にも免除が可能となったが、更なる制度拡大のほか、償還免除について、具体的な基準の明示や償還困難者等に対する基礎自治体の裁量による償還免除の決定を行った場合の国及び県における免除規定の整備、債権回収に向けた個々の取組に係る経費への助成や、債権回収を専門的かつ専属的に実施するための債権回収機構等の設置等について要望があった。 四点目は、「伝承への取組について」である。東日本大震災から十年が経過し、震災の記憶の風化が懸念されている。記憶や経験を語り継ぎ、将来に生かすためには、それぞれの団体や施設の理念や視点を生かして取り組んでいる震災遺構やアーカイブ、語り部などの東日本大震災の記憶・教訓の伝承活動について、ゲートウェイ(玄関口)の役割を担っている伝承施設等がその中心となり、防災文化の効果的な醸成と継承に向け、連携した取組を行うための仕組み作りが課題である。四 要望(要請)活動 1 復興大臣に対する要望活動 本委員会は、震災からの復旧・復興対策について、参考人意見聴取や沿岸市町等における県内外調査を実施し、課題の把握に努めてきたところである。これらを整理し「震災からの復旧・復興対策に係る要望書」を調製し、その実現のため令和三年九月十三日に、平沢勝栄復興大臣(当時)に対して要望活動を実施した。 要望事項については、次のとおりである。  (1) 東日本大震災復興関連予算の確保及び運用等  (2) 復旧・復興に要する人的支援の継続  (3) 中小企業等グループ施設等復旧整備事業における財政支援の継続  (4) 二重債務問題対策に係る支援の継続  (5) 被災地の子どもの心のケア対策充実のための継続した財源と人的資源の確保等  (6) 被災者の心のケア対策及び見守り・生活支援のための財源の確保  (7) 移転元地の利活用の促進  (8) 災害公営住宅の家賃低廉化事業・特別家賃低減事業における安定的な財政支援の継続  (9) 復興・被災者支援に取り組むNPO等への支援の継続  (10) 東日本大震災地震津波防災ミュージアム等の整備  (11) 被災した鉄道各線の復旧及び復興まちづくりへの支援  (12) 事業復興型雇用確保事業の延長  (13) 地方において必要な外国人材を確実に確保できる実効性のある対策  (14) 震災ガレキの処理に対する継続的な支援  (15) 復旧・復興事業における事務の簡素化  (16) 国際リニアコライダー(ILC)の実現  (17) 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う被害への対応等   イ 原発事故に起因する風評被害に係る迅速かつ十分な損害賠償の実現   ロ 中国、韓国などにおける農林水産物等の輸入規制への対応   ハ ALPS処理水の風評被害対策、海洋への汚染水の流出防止対策及び放射性物質の対策   ニ 放射能に汚染された廃棄物の処理 このうち、「(1)東日本大震災復興関連予算の確保及び運用等」及び「(17)東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う被害への対応等」を重点要望項目とした。 前者については、復旧・復興事業の完了に向けて全力を尽くしているが、一部のハード事業が未完了となっており、また、子どもからお年寄りまでの被災者の心のケア問題を始め、地域コミュニティの再構築、高齢者の生活支援などについて、特例的な予算措置を継続し、被災自治体が必要としているハード・ソフトの両事業について、財政支援や各種制度を確実に講じるとともに、制度の運用に当たっては、地域の声・実情に応じ柔軟に対応するよう要望した。 後者については、原発事故に伴う風評被害が依然として収束しておらず、本県の地域産業に大きな影響をもたらしていることから、東京電力による賠償について、県境に関係なく、被害の実態に応じて十分かつ迅速な賠償を行うよう、東京電力に対して国から強く指導すること、農林水産物等の全面輸入停止措置を講じている中国や厳しい規制を続けている韓国、台湾等に対して、一刻も早く輸入規制が撤廃されるよう、引き続き働きかけること、ALPS処理水の海洋放出は、本県ひいては我が国の水産業等に甚大な風評被害を及ぼすことが懸念されることから、地元関係者の意見を十分に聴き、風評被害を拡大・深刻化させることのないよう、丁寧な説明と万全な対策を講じることを要望した。 また、意見交換の中では、「(7) 移転元地の利活用の促進」について触れ、移転元地の維持管理等に関わる財源措置や地域の実情に合った移転元地の利活用への支援を求めた。 これに対して、平沢勝栄復興大臣(当時)から、次のような発言があった。 復興はまだ終わったわけではなく、今後も日本全体の問題という位置付けで取り組んでいく。財政支援については、ハード事業も百%の完了とはなっておらず、また、被災者の心のケア等のソフト事業にもしっかり取り組みたい。東京電力の賠償問題等については、復興庁としても重要な問題と捉えており、経済産業省に、東京電力に対して適切な指導を行うように求める。 韓国も含めた海外の輸入規制の問題については、引き続き最重要課題として、相手国が正しい知識により対応できるよう取り組んでいく。ALPS処理水の海洋放出問題については、各省庁の職員で構成する風評対策タスクフォースにおいて、更なる風評被害が起こらないよう国を挙げて全力で取り組んでいきたいと述べた。 2 東京電力に対する要請活動 本委員会は、「福島第一原子力発電所事故に起因する被害への迅速かつ十分な対応及び原発事故の早期完全収束を求める要請書」を調製し、その実現のため、令和三年九月十三日に、東京電力に対して要請活動を実施した。要請事項については、次のとおりである。  (1) 福島第一原子力発電所事故に起因する被害に係る迅速かつ十分な損害賠償の実施   イ 賠償金の迅速かつ十分な支払について   ロ 請求手続の一層の簡素化について   ハ 被害の実態に即した損害賠償の実施について   ニ 自治体や生産組合等において風評被害防止のために要した経費の補償について  (2) 原発事故の早期完全収束の実現   イ 放射能汚染水に係る抜本対策及び緊急対策の確実な履行について   ロ ALPS処理水の自然界放出について   ハ 発電所内におけるトラブル、周辺環境のモニタリング結果等の迅速な公表と丁寧な説明について このうち、「賠償」及び「ALPS処理水の自然界放出について」を重点要請項目とした。 前者については、生産者、事業者による賠償請求に関して、基本的にはその全てが原発事故に起因するものであるが、法令・政府指示等に基づかないことを理由に、十分な賠償に応じない等、消極的な姿勢のままである。このため、県境に関係なく、被害の実態に応じて十分かつ迅速な賠償を行うこと、また、あらゆる風評被害について、風評が完全に払拭されるまで賠償を行うことなどを要請した。 後者については、福島県に隣接する本県は、農林水産物の出荷制限や輸入禁止措置などに見舞われているほか、原発事故に伴う風評被害が依然として収束しておらず、地域産業に大きな影響をもたらしている。ALPS処理水の海洋放出の決定は、風評被害を更に拡大・深刻化させるおそれがあり、被災地のダメージは大きく、容認できないという立場に変わりはない。原発事故の原因を作った当事者として、海洋放出ありきではなく、海洋放出以外の処分方法について引き続き検討するとともに、トリチウム等を除去する研究・開発に積極的に取り組むこと、今回の決定による新たな風評被害を生じさせないよう、国民や国際社会の理解醸成と万が一に備えた損害賠償スキームの策定などを国とともに責任を持って対応するよう要請した。 当該要請の内容について、東京電力高原常務執行役福島復興本社代表からは冒頭で、多くの人に迷惑や心配を掛けていることに改めてお詫びの言葉があり、また、原発事故の当事者として、ALPS処理水に関しての安全対策はもちろんのこと、風評影響の抑制・対策、迅速な損害賠償について、責任を持って対応していくこと、要請書の内容については真摯に対応していくことが述べられた。 次に、当該要請に関する東京電力の基本的な考え方として、一点目の「賠償」については、賠償に関する三つの誓いの中で、事故と因果関係がある被害については、損害がある限り賠償するという方針を掲げていること、損害賠償の消滅時効の取扱いについては柔軟な対応をすることなどが述べられた。 二点目の「ALPS処理水の自然界放出について」については、安全性の確保を大前提に、専門組織を設置し、新たな風評影響を最大限に抑制するための対応を徹底すること、環境影響への懸念払拭のため、海域モニタリングを強化し拡充することや、環境への放射線影響評価の実施及び公表、国際原子力機関(IAEA)を含む第三者機関の関与により、客観性及び透明性の確保等を図り、国内外に対して科学的事実に基づく正確でわかりやすい情報発信や双方向コミュニケーション等を通じ、理解醸成に取り組むと述べた。 そのほか、トリチウム分離技術に関する調査や提案受付を実施し、引き続き、新たな技術動向について継続的に注視し、主体的に取り組んでいくと述べた。五 総括 本委員会は、参考人意見聴取や県内外における調査活動等を通じ、本県における震災からの復旧・復興に係る様々な課題の把握に努めるとともに、これらを取りまとめ、現状の課題の解消に資するべく、国や関係機関との意見交換や働きかけを重点的に実施してきた。 東日本大震災の発災から十年以上が経過し、特に津波による甚大な被害を受けた沿岸市町においては、防災集団移転促進事業や被災市街地復興土地区画整理事業等のまちづくりに関わる事業、災害公営住宅の整備など住宅の再建に関する事業がほぼ完成し、被災者の生活再建が加速している。また、県内の産業についても、中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業を始めとする各種支援施策が継続的に実施されるとともに、「石巻南浜津波復興祈念公園」や「みやぎ東日本大震災津波伝承館」など、県内各地に震災遺構・伝承施設が完成し、復興完遂に向けて着実に歩みが進められているところである。 一方で、沿岸部においては、やむを得ない事情等により一部のハード事業が未完了となっているほか、依然として自治体におけるマンパワー不足が続いており、また、被災者に対する心のケアや被災地の子どもに対する支援、地域コミュニティの再構築といったソフト事業、防災集団移転促進事業の移転元地利用など、時間の経過に伴って顕在化・深刻化する様々な課題を抱えている状況にあり、令和四年度以降も被災市町が必要とする財政支援や各種制度を確実に講じるとともに、制度の運用に当たっては、地域の実態に即した柔軟な対応が求められている。 また、原発事故に起因する被害に関しては、廃炉に向けた道筋や使用済み燃料プールからの燃料取り出し等の廃炉作業が進められている一方、賠償については必ずしも十分とは言えない状況にあるほか、指定廃棄物や除去土壌等の課題も残っている。さらに、従来から本県産品等に対する不安が払拭されず、国内外において、風評等の被害が続いている中、国においては、ALPS処理水の処分方法を海洋放出とするなど、処分に関する基本方針を決定したところであり、当該処理水の海洋放出は、本県産業に対して風評被害にとどまらない多大な影響を与えるおそれがある。 特に、風評被害の払拭に向けては、食品と放射能に関する正しい知識のかん養により、本県のみならず全国の消費者等に対し、本県産品等の安全性についての理解を増進することが極めて重要であり、本県はもとより国等による全国を対象とした継続的な取組が必要である。 加えて、近年、全国的に台風、地震、豪雨等による大規模な自然災害が頻発している状況を踏まえ、東日本大震災からの復旧・復興の取組の中で培った教訓や知見を広く発信し、後世に確実に伝承していくことは、被災県として国内外の防災力向上に貢献するためにも極めて重要である。 東日本大震災からの復興については、令和二年六月に復興庁設置法等の一部を改正する法律が成立し、復興庁の設置期間が十年間延長されたほか、同年七月には、「令和三年度以降の復興の取組について」が決定され、令和三年度から令和七年度までの五年間が「第二期復興・創生期間」と位置付けられたところであり、今後は、本県として残された事業に全力を挙げて取り組むとともに、東日本大震災の伝承と記憶の風化防止、津波防災教育への対応について、震災遺構やみやぎ東日本大震災津波伝承館等の積極的な活用も含めて十分な施策を主体的に講じていくことが強く求められる。 このような現況の下、本委員会では、刻々と変化する被災地の状況を把握するため調査活動を行ってきたが、本県の東日本大震災からの復旧・復興への道のりは今後も続くことから、様々な課題の的確な把握とその解消に向け、県議会として、継続的に県及び国等への働きかけを行うためにも、次期においても特別委員会を設置し、本県の早期復興に資する最も効果的な調査活動の在り方について絶えず検討を行うものとし、被災地の復旧・復興の進捗状況に応じて、多岐にわたる課題について、より精緻な調査活動を展開し、本県の復興に資するべく全力を傾注する必要があると当委員会では考える。 以上、今後の県議会における、被災地に根差したより効果的な調査活動を期待して、活動の報告とする。  令和三年十一月十九日            宮城県議会大震災復興調査特別委員長 佐々木喜藏 宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(菊地恵一君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。-----------------------------------鳥獣被害対策調査特別委員会調査結果報告 ○議長(菊地恵一君) 日程第五十八、鳥獣被害対策調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。鳥獣被害対策調査特別委員長、四十二番菅間進君。    〔四十二番 菅間 進君登壇〕 ◆四十二番(菅間進君) 鳥獣被害対策調査特別委員会の調査結果について、御報告申し上げます。 本委員会は、鳥獣被害対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和二年十二月十六日に設置されました。 付議事件、鳥獣被害対策に関する諸施策についてを受け、拡大する鳥獣被害の現状と防止・軽減対策についてを調査項目として、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに参考人からの意見聴取を行ったほか、県内・県外調査を実施して検討を重ねて参りました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して、御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………    鳥獣被害対策調査特別委員会報告書 鳥獣被害対策調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、鳥獣被害対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和二年十二月十六日に設置され、付議事件「鳥獣被害対策に関する諸施策について」を受け、「拡大する鳥獣被害の現状と防止・軽減対策について」を調査項目とした。 調査項目について、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、合同会社東北野生動物保護管理センター、農林水産省及び仙台市より参考人を招致して意見を聴取し、さらに、県内の実情を把握するため、大崎市、村田町及び石巻市の取組について調査を実施したほか、他県の事例を参考にするため、群馬県、栃木県及び株式会社馬頭むらおこしセンターの取組などについて調査を行った。 その概要は、次のとおりである。一 現状と課題 1 野生鳥獣による被害の現状について  (一) 農業分野における被害について 本県の野生鳥獣による農作物被害額は、平成二十六年度の二億九百九十四万円をピークとして平成二十七年度は一億三千八百七十万円と減少したものの、その後は増減を繰り返しており、令和元年度は一億五千六百六十二万円となっている。ピーク時からは減少しているものの、東日本大震災以前の平成二十一年度と比較すると、被害額は二倍近くに増えている状況にある。 令和元年度の被害額を鳥獣の種類別で見ると、特にイノシシによる被害が約五割を占めており、発生地域は二十六市町村に上る。次いでニホンジカによる被害が約一割を占め、発生地域は五市町に上る。このほか、獣類ではハクビシン、ニホンザル、ツキノワグマ、鳥類ではカラス、カモ、スズメなどによる被害が発生している。 なお、作物別で見ると、稲が六割、野菜が二割弱を占めている。 鳥獣被害は、対策に係る経費や労力の増大、収量・品質の低下による営農意欲の減退、耕作放棄の増加などにも進展し、被害額として数字に表れる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼしており、近年は、イノシシやニホンジカの生息域が拡大したことによる被害増加への対応が喫緊の課題となっている。  (二) 森林・林業分野における被害について ニホンジカによる被害については、主に県内東部の石巻・気仙沼・登米地域で造林木の食害が発生しており、再造林を進める上で支障となっている。また、食害で下層植生が消失することにより、森林の土砂流出や崩壊防止機能の低下が懸念されている。 ツキノワグマによる被害については、七ヶ宿町や大和町において、主に人工林の杉の樹皮を剥ぐ「皮剥ぎ」被害が確認されており、森林の経済的価値の低下を招いている。 これらの被害を防止するためには、侵入防止柵や防護資材の設置、忌避剤の散布などの対策が必要となり、森林整備に係る経費のかかり増しとなることから、低コストで効果の高い対策手法の確立が課題となっている。  (三) カワウによる水産被害について 東日本大震災により、カワウの生息地であった海岸付近の樹木が消失したことに伴い、カワウの生息域が内陸部に移動したと考えられ、県内各河川において内水面水産資源の食害が報告されるようになった。その生息状況については、令和二年度は約千羽から二千六百羽とされており、内陸部の地域活性化の一端を担う内水面漁業の振興を図る上で障害になっている。 県では、県内水面漁業協同組合連合会・内水面漁業協同組合が主体となり、追い払いなどを行っているものの、被害実態が十分に把握されていないため、関係機関と協力して被害実態等を把握した上で、速やかに効果的な対策手法を確立し、普及させることで、被害の拡大を防ぐ必要がある。  (四) ツキノワグマによる人身被害について ツキノワグマによる人身被害については、令和元年度は六件で、死亡事故も一件発生した。令和二年度は一件であったが、平成二十五年度以降、人身被害が毎年度発生しており、また、全国的にもツキノワグマが市街地へ出没する事例が増加していることから、引き続き人身被害の防止に向けた取組等を進めていく必要がある。 2 鳥獣被害の防止・軽減対策について  (一) 「鳥獣による農林水産業等に係る被害防止のための特別措置に関する法律」に係る取組等について 「鳥獣による農林水産業等に係る被害防止のための特別措置に関する法律」(以下「鳥獣被害防止特別措置法」という。)は、鳥獣被害の深刻化を踏まえ、市町村が中心となって実施する被害防止のための総合的な取組を支援するもので、平成十九年に成立した。 同法に基づき、被害防止計画を作成した市町村に対しては、農林水産省補助事業「鳥獣被害防止総合対策交付金」による支援や、鳥獣被害対策実施隊を組織することによる狩猟人材の確保などの施策を推進するために必要な措置が講じられている。  (1) 鳥獣被害防止総合対策交付金の活用について 市町村被害防止計画は県内で三十二市町村が作成し、これに基づき対策を実施している。また、鳥獣被害対策実施隊は二十八市町村が設置している。 同交付金での主な支援内容としては、有害鳥獣捕獲に係る経費の補助、わな等の捕獲機材購入費の補助、捕獲技術向上等のための研修会の実施、侵入防止柵や解体処理施設等の整備、放置果樹の伐採や刈り払い等の生息環境の管理が挙げられる。また、令和三年度は、同交付金を活用して、県内三箇所に合計六十三台のセンサーカメラを設置して、RESTモデル(撮影データに基づき生息密度を推定する手法)による県内のイノシシの生息数推定を行っている。 なお、同交付金を補完する事業として、国からの割当てが不足した場合に、県単独で補助する取組を平成三十年度から実施しており、令和二年度からは不足分の全額を補助している。  (2) 有害捕獲による捕獲頭数の状況について 農作物被害防止等のための有害捕獲(市町村単独事業等による捕獲を含む。)による令和元年度の捕獲頭数は、イノシシが八千百九十二頭、ニホンジカが二千八百六十六頭であった。また、令和二年度の捕獲頭数は、イノシシが八千四百六十八頭、ニホンジカが四千九十六頭であり、被害の多いイノシシ及びニホンジカに集中し、捕獲を進めている。  (3) 侵入防止柵の整備状況について 県内では、鳥獣被害防止総合対策交付金などを活用して、電気柵やワイヤーメッシュ柵を主体に、令和元年度までに約千六キロメートルの侵入防止柵が整備されている。侵入防止柵設置の効果を持続させていくためには、侵入防止柵の適正な維持管理が重要となることから、今後は、見回りによる日常管理を継続して行っていく必要がある。  (4) 解体処理施設等の整備状況について 捕獲された鳥獣については、市町村の多くで埋設処理を行っているが、埋設場所の確保や作業労力の軽減が課題となっている。その対策として、広域行政事務組合の焼却施設において処分する市町も出てきていることに加え、蔵王町、白石市、村田町、川崎町及び丸森町では、鳥獣被害防止総合対策交付金などを活用し、事前処理のための解体処理施設や減容化処理施設が整備されている。  (5) 野生鳥獣を寄せ付けない環境管理の取組について 県では、県内にモデル地区を設置し、集落ぐるみの鳥獣被害対策の取組を支援しており、令和二年度までに十四地区で実施している。また、モデル地区の取組事例を研修会や会議等で紹介することで、他地域への普及を図っている。  (6) ICT技術の活用について 県内では、鳥獣被害防止総合対策交付金を活用して、わな用受信器、センサーカメラなどを導入し、わな設置後の見回り労力の軽減など効率化を図る取組が進んでおり、令和元年度までに十六市町の協議会で導入されている。  (7) 捕獲技術等向上対策について 県の主催で鳥獣被害対策実施隊を対象とした研修会を開催しているほか、新たな担い手の確保策として、県農業大学校での鳥獣被害対策に関する講義も実施している。  (二) 「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」に係る取組等について 「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(以下「鳥獣保護管理法」という。)は、生物多様性の確保、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与することを目的として、鳥獣の捕獲等の規制、鳥獣捕獲等事業の認定、狩猟制度等に関する事項を規定している。 同法に基づき、集中的かつ広域的に管理を図る必要があり、指定管理鳥獣捕獲等事業における個体数調整の対象となる指定管理鳥獣として、国はイノシシ及びニホンジカを指定している。また、生息数が著しく増加又は生息域が拡大しており、管理を図るため都道府県知事が指定する第二種特定鳥獣として、県はイノシシ、ニホンジカ、ツキノワグマ及びニホンザルを指定している。 県では、これらの第二種特定鳥獣について、平成二十九年度から令和三年度を計画期間として「第二種特定鳥獣管理計画」を策定するとともに、毎年度当該鳥獣の管理事業実施計画を策定し、個体数の適正管理や必要な管理事業を実施している。  (1) 「第二種特定鳥獣管理計画」に基づく個体数調整等の推進について イノシシ、ニホンジカについては、指定管理鳥獣捕獲等事業を活用し、生息調査等を実施し、その結果を踏まえて策定した実施計画に基づき、個体数調整の強化を図っており、令和元年度の捕獲実績は、イノシシが千七十七頭、ニホンジカが三百一頭であった。また、令和二年度の捕獲実績は、イノシシが三千百九十四頭、ニホンジカが六百十一頭であった。 さらに、野生鳥獣の捕獲促進及び被害防止対策の強化のため、平成二十九年度から大河原地方振興事務所林業振興部に鳥獣被害対策専門指導員等を配置し、令和三年度は十人体制でイノシシの捕獲等を実施している。  (2) 県内の狩猟免許所持者数について 県内の狩猟免許所持者数の推移については、狩猟免許所持者全体で見れば近年は増加傾向にあるものの、令和二年度の狩猟免許所持者数は、十年前の平成二十二年度と比較すると、わな猟免許所持者数は増加しているのに対して、銃猟免許所持者数は減少している。  (3) 狩猟者確保対策について 県では、狩猟経験の浅い者や狩猟に関心のある者を対象に「新人ハンター養成講座」を開催し、有害鳥獣捕獲の担い手を育成・確保しているほか、令和二年度からは、狩猟免許を取得して間もない者を対象に「新米ハンターレベルアップ講座」を開催し、若手狩猟者の技術向上を支援している。また、狩猟免許試験の受験機会の確保のため、狩猟免許試験の開催場所の分散化や休日の試験開催、わな猟限定の試験回数を増やすなど、受験者の利便性の向上に努めており、令和二年度は、市町村からの要望に応じて、大崎市でわな猟限定の狩猟免許試験を実施している。  (三) 森林・林業分野における防止・軽減対策について 県では、食害のおそれがある地域で造林を行う場合、防鹿柵などの侵入防止柵や防護資材の設置、忌避剤の散布などの対策に係る経費について補助を行っている。また、事例集などを発行して被害防止対策の普及を図るとともに、地域に合ったニホンジカの効果的な捕獲手法の実証試験などにも取り組んでいる。  (四) カワウによる水産被害対策について 県では、カワウの生息状況調査を実施するとともに、内水面漁業協同組合と協力して被害量の推定に取り組んでおり、駆除したカワウの胃の内容物から、アユやサケ等の重要な内水面水産資源の食害が明らかになっている。 このため、県では、令和三年度以降、関係機関と協議し、被害対策指針を策定する予定としており、当該指針に基づき、効果的な個体群管理や被害防除対策を確立し、県内水面漁業協同組合連合会・内水面漁業協同組合を中心に防除等の対策を実施して、被害の拡大を防いでいくこととしている。  (五) ツキノワグマによる人身被害対策について 県では、平成二十六年度に、ツキノワグマが市街地等に出没した場合の緊急捕獲許可フロー図を定め、各地方振興事務所、宮城県警察、市町村、一般社団法人宮城県猟友会と共有し、出没の通報から捕獲までに至る関係者の役割分担の周知徹底を図っている。また、県のウェブサイトにツキノワグマの出没情報、ツキノワグマに遭わない方法、ツキノワグマに遭ってしまった場合の対応法などを掲載し、注意喚起を行っている。 3 野生イノシシの豚熱及びアフリカ豚熱対策について 豚熱については、平成三十年九月、二十六年ぶりに国内で発生した。令和三年一月末現在、十三府県で防疫措置を実施し、約十八万頭の豚が殺処分された。また、令和元年十月に、国は豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針を改正した。これにより、予防的ワクチン接種が可能となり、令和三年一月末現在、本県を含む二十八都府県でワクチン接種が実施され、本県では、令和三年一月二十七日に、全百四十一農場、約十七万頭に対するワクチン接種を完了している。 アフリカ豚熱については、令和三年一月末現在、国内での発生事例はないものの、アジアでは、平成三十年八月に中国で発生して以来、十三箇国・地域に拡大しており、日本への侵入リスクの高い状況が継続している。 今後は、養豚経営体へのウイルスの侵入防止の強化を含めた飼養衛生管理基準の徹底や指導助言の強化、アフリカ豚熱を想定した防疫研修・演習の実施、野生イノシシのサーベイランス検査の強化などの対策を進めていく必要がある。 4 東日本大震災による放射性物質に係る鳥獣肉の出荷制限について  (一) 現状 鳥獣肉(以下「ジビエ」という。)の利活用は捕獲の促進に有効な取組であるが、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、県内全域を対象として、イノシシ及びツキノワグマについては平成二十四年六月二十五日付けで、ニホンジカについては平成二十九年十二月十三日付けで出荷制限指示が出され、現在も継続している。 このうち、ニホンジカを取り扱う石巻市内の二事業者については、国と調整した結果、全頭検査を前提とした県の出荷・検査方針が整ったことから、平成二十九年十二月二十七日付けで出荷制限が解除されている。また、女川町内の一事業者についても、同様に令和二年七月二十七日付けで出荷制限が解除されている。  (二) ジビエの出荷制限指示への対応について 県では、有害鳥獣捕獲等により捕獲したものの一部から検体を採取して、検体中の放射性物質をモニタリング検査しており、検査結果については、国に報告するとともに、県民に情報提供している。 全頭検査を前提とした新たな出荷制限の解除については、事業者からの要望があった場合に、県は、事業者ごとに全頭検査に基づく出荷・検査方針を作成し、国と調整して出荷制限の解除に向けた手続を行うこととしている。 その一方で、出荷制限の影響により、狩猟による捕獲頭数の減少が危惧されることから、十分な捕獲圧を維持するため、イノシシ及びニホンジカを狩猟で捕獲した者に報償金を支給している。二 参考人からの意見聴取 1 合同会社東北野生動物保護管理センター 代表社員 宇野壮春氏 東北野生動物保護管理センターでは、東北地方を中心に、ニホンザル、ツキノワグマ、イノシシ、ニホンジカ、カモシカなどの大・中型哺乳類を対象とした調査・研究や、地域における鳥獣被害対策の検討、実施及び効果の検証までを総合的にコーディネートする業務などを行っている。 宇野氏は、近年、野生鳥獣による被害が深刻化・広域化している背景として、中山間地域の人口減少、野生動物の利用価値の低下、捕獲の担い手の減少や高齢化などが挙げられると指摘した。また、補助金等により、ICTやIoT等を活用した効果的・効率的な捕獲技術等を導入しても、地域において正しい対策知識が共有され、普及しなければ、被害の減少にはつながらないと指摘した。 このことから、鳥獣被害対策については、地域における合意形成を経て、地域独自の課題や費用対効果等を勘案しながら、地域全体で持続可能な管理手法を作り上げるなど、地域づくりの一環として継続的に実施していくことが重要であると述べた。 2 農林水産省農村振興局農村政策部鳥獣対策・農村環境課課長補佐 伊藤 隆氏、 農林水産省東北農政局農村振興部農村環境課課長 杉山正広氏、課長補佐 畠中昭二氏 伊藤氏らは、鳥獣被害の現状と対策について、次のとおり述べた。 全国の野生鳥獣による農作物被害額は、平成二十二年度をピークとして年々減少しているものの、高止まりの状況が続いており、令和元年度は約百五十八億円であった。東北管内における令和元年度の農作物被害額は約十三億円であり、県別では、山形県、岩手県、福島県、宮城県、青森県、秋田県の順に多い。鳥獣種別の被害額は、イノシシ、ニホンジカ、カラス、ツキノワグマ、ニホンザルの順に多く、被害の大部分を占めるイノシシ及びニホンジカについては、全国的には減少傾向にあるものの、イノシシの生息域が北上していることなどの影響で、東北管内では増加している。 鳥獣被害防止総合対策交付金では、野生鳥獣被害の深刻化・広域化に対応するため、捕獲活動や侵入防止柵・焼却施設の整備など、地域で行うことができる対策についての総合的な支援を行っており、また、多面的機能支払交付金や中山間地域等直接支払交付金でも、鳥獣被害対策推進枠を設け、集落等を単位とした鳥獣被害対策に対する支援も行っている。 さらに、有害鳥獣をマイナスの存在からプラスの存在に変える取組として、ジビエ利用の拡大に向けた取組を支援しており、国では、令和七年度のジビエ利用量を四千トン(令和元年度の約二倍)にするという目標を掲げ、鳥獣被害防止総合対策交付金において、処理加工施設の整備に係る補助や放射性物質による出荷制限解除に向けた検査費用の支援などを行っている。 このほか、令和三年六月に鳥獣被害防止特別措置法が改正され、都道府県は、被害防止を目的とした複数の市町村界をまたぐような広域的な捕獲対策等を実施できることとなり、国はそのために必要な費用についての支援を行っていくとの説明があった。 3 仙台市環境局環境部環境共生課課長 金久保美喜氏、環境共生係長 川満尚樹氏、 仙台市経済局農林部農業振興課課長 鈴木 中氏、地域支援係長 眞野英明氏 金久保氏は、仙台市における鳥獣被害のうち、ツキノワグマによる被害の現状と対策について、次のとおり述べた。 仙台市のツキノワグマによる人身被害については、過去十年間で平成二十八年度の五件のみであり、死亡事案は発生していない。出没件数は例年二百件前後で推移しているものの、数年に一度多くなる傾向が見られ、平成二十八年度と令和二年度は出没件数が四百件を超え、例年に比べて多い年となったが、その要因の一つとして、ブナとミズナラが共に凶作であったことが挙げられる。また、令和二年度は、都市計画上の市街化区域での出没件数が全体の約二十五%を占めていたことから、人身被害につながるおそれが高い状況であったと指摘した。 被害防止のための啓発については、出没が多い地域を中心にツキノワグマ対策の市民講座を開催し、ツキノワグマを人里に引き寄せないための方策などの啓発を実施しているほか、メール配信サービス等による出没情報の速やかな情報発信により注意喚起を行っている。また、令和三年三月には、「せんだいチューブ」(仙台市公式動画チャンネル)に、ツキノワグマが出没しやすい地点やツキノワグマに出会ってしまった時の対処方法などを紹介した啓発動画を公開するなど、より多くの市民にツキノワグマの習性や対策等を知ってもらうための取組も実施しているとの説明があった。 鈴木氏らは、仙台市における野生鳥獣による農作物被害について、次のとおり述べた。 有害鳥獣による仙台市の農作物被害の状況については、例年、被害額の大部分をイノシシが占めており、イノシシの捕獲頭数も平成三十年度以降は急激に増加していることから、被害軽減のためにはイノシシ対策が重要である。また、近年は市街地でのイノシシの目撃例が増えており、市街地での生活被害や人身被害も懸念されるため、農業者に対してだけではなく市街地の住民に対しても、イノシシ被害についての啓発活動を行うなどのきめ細かな対応が必要であると指摘した。 これまでの仙台市の取組のうち、防除については、集落全体の農地を防護するものとしてワイヤーメッシュ柵を、個々の農地を防護するものとして電気柵を市内各地に設置しており、それぞれの柵の平成二十一年度からの設置総延長は、ワイヤーメッシュ柵が約三百七十九キロメートル、電気柵が約四百二十四キロメートルとなる。 捕獲については、平成三十年度に仙台市鳥獣被害対策実施隊を設置し、隊員は市の非常勤の公務員として任命され、五つの隊がそれぞれの管轄区域において、市の公務として主体的にわなの見回りや捕獲等を行っている。また、捕獲の効率化と捕獲従事者の負担軽減を図るため、ICTを活用した捕獲システムを平成三十年度から導入している。さらに、地域ぐるみの捕獲対策として、平成二十七年三月から、狩猟免許を有しない捕獲従事者容認事業として、地域住民が箱わなの設置や見回りなどの活動に参加できる制度を創設し、令和三年七月一日時点で市内四十二地区、合計五百七十五人がイノシシの捕獲に従事しており、実施隊員の負担軽減と地域の自主防除意識の高揚につながっているとの説明があった。 有害鳥獣対策における課題については、捕獲後の個体処理が挙げられる。特にイノシシの解体には相応の手間と技術が必要であり、実施隊員や地域住民にとって大きな負担となっている。令和二年度からは民間企業が所有する解体処理場を活用し、捕獲した個体の解体作業ができるようになったが、更なる処理作業の負担軽減に向けて、施設整備等を含めた広域的な取組が必要であると指摘した。 また、ワイヤーメッシュ柵の維持管理も課題となっている。維持管理は地区の農業者団体が行うことになっているが、地域の高齢化により、点検・補修に係る人材の不足や、補修資材等に係る費用など、維持管理に係る負担は地域にとって大きくなっているのが現状である。令和三年度からは、仙台市農作物有害鳥獣対策協議会でまとめて補修資材を購入して地域に配布するなどの支援を行っているが、こうした防除は長期的な取組となるため、今後も柵周辺の草刈りを行うなどの適切な維持管理が不可欠であるとともに、地域の活力を維持するための継続的な支援が必要であると指摘した。 さらに、鈴木氏は、イノシシは繁殖力・学習能力が高いことから、永続的に効果がある抜本的な対策を講じることは困難であると指摘し、個体の捕獲のほか、イノシシを集落に寄せ付けないための環境整備、物理的に侵入を遮断する防除という三つの対策を地域と行政が一丸となって今後も粘り強く取り組んでいく必要があると指摘した。三 県内調査 1 大崎市 大崎市では、イノシシによる農作物等への被害が増加しており、捕獲頭数は令和元年度が二百七十八頭であったのに対して、令和二年度は六百九十頭と約二・五倍に増加しており、増加率は県内の市町村の中で最も高かった。イノシシは岩出山地区や鳴子地区を中心に出没しており、令和二年度の捕獲頭数は二地区合わせて五百九十一頭となり、大崎市全体での捕獲頭数の約八十五%を占めている。また、捕獲の担い手を確保するため、狩猟免許取得やくくりわな捕獲に対する助成、大崎市での狩猟免許試験の開催などを行ったことで、大崎市鳥獣被害対策実施隊の隊員数は、令和三年度に百五十一人となり、令和二年度に比べて二十一人の増員となった。さらに、地域ぐるみの捕獲対策として、農作物野生鳥獣被害対策アドバイザーの古谷益朗氏を招いて、実施隊の隊員のみならず、地域関係者も対象としたイノシシ被害対策等に関する研修会を定期的に開催しており、地域全体で鳥獣被害対策に関する理解を深める機会を設けている。 有害鳥獣の侵入防止対策については、県のみやぎ環境等を活用し、圃場周辺へのソーラー電気柵等の導入について、平成三十年度から令和三年六月末まで合計三百七十件の補助を実施した。また、鳥獣被害防止総合対策交付金等を活用して、被害が比較的大きい鳴子、岩出山地区を中心に侵入防止物理柵の設置も行っており、平成三十年度からの設置総延長は、約五十四・三キロメートルとなっている。 さらに、大崎市では、今後もイノシシの捕獲頭数の増加が見込まれるとともに、個体を焼却処理している施設の廃炉も予定されていることから、捕獲した個体の新たな処理方法としてジビエの利活用を検討しており、そのための環境整備や食肉加工処理施設等の整備についての検討を、令和四年度から行う予定であることなどの説明を受けた。 次に、大崎市鳥獣被害対策実施隊員である齋藤昭博氏、大井川清純氏、西澤誠弘氏からは、次のような発言があった。 齋藤氏からは、会社員が銃猟免許を取得する場合には、何度も平日に休暇を取得して、管轄の警察署において猟銃所持のための手続等を行わなければならず、その点が若年層の免許取得の妨げとなっているのではないかとの意見があった。 大井川氏からは、ツキノワグマの捕獲許可決定に基づいてツキノワグマの捕獲を開始する頃には既に捕獲対象のツキノワグマは移動しており、捕獲に至らないことが多いため、速やかな捕獲許可決定が必要であるとの意見があった。 西澤氏からは、田尻地区の特徴として、地区の総面積の約半分に当たる三千六十一ヘクタールが国指定の鳥獣保護区に、そのうち四百二十三ヘクタールがラムサール条約湿地として特別保護地区となっているため、他の地域と比べて狩猟活動が制限されることが多いとの説明があった。 最後に、大崎市から次の三点が要望された。  (一) イノシシの捕獲数増加に伴い、減容化処理施設やジビエ利活用のための食肉加工処理施設の整備及び新たな侵入防止物理柵の設置が必要となるため、国からの鳥獣被害防止総合対策交付金を十分に確保するとともに、鳥獣被害対策に係る県独自の支援も強化してほしい。  (二) ジビエ利活用に係る取組を推進するため、原子力災害対策特別措置法に基づく野生鳥獣肉の出荷制限等の指示について、県において、国に対して早期の一部解除に向けた手続等を行ってほしい。  (三) 有害鳥獣による農作物等への被害は、県内各地に拡大しており、防疫上の観点からも広域的な対策の強化が必要であることから、県が主体となって、市町村の枠を超えた広域的な捕獲対策等を実施してほしい。 2 村田町 村田町では、平成二十三年度頃から、イノシシの生息域が宮城県南部の地域から北に急速に拡大したことなどに伴い、イノシシ等による農作物の被害報告件数が急増した。村田町農作物有害鳥獣対策協議会が中心となり、村田町鳥獣被害対策実施隊等の関係機関と連携して有害鳥獣の捕獲を推進した結果、イノシシの捕獲頭数は増加したが、捕獲個体を埋設するための掘削作業が捕獲者の大きな負担となり、処分方法の軽減が急務の課題となった。 村田町農作物有害鳥獣対策協議会における検討の結果、捕獲者の負担を可能な限り軽減し、捕獲に集中できる環境を整備するため、解体ではなく分解処理が可能な施設の設置が望ましいという結論となり、減容化処理施設の導入を決定した。 この施設は、平成三十年度中山間地域所得向上支援事業を活用し、総事業費三千六百八十二万八千円で小泉地区に建設され、平成三十一年四月から供用を開始している。六十キログラム程度の個体であれば、一度に八頭を投入することができ、おがくずの常在菌により約一週間で個体が分解される。減容化されたものは年に四回程度、一般廃棄物として焼却処分しており、年間の処理能力は四百二十頭以上と見込まれている。捕獲した個体を鳥獣分解処理装置の処理槽に投入することで分解と減容が行われることから、実施隊員、捕獲従事者等の負担が大きく軽減されることとなった。 3 石巻市 石巻市では、ニホンジカの生息域拡大による農業被害、林業被害等が増加しており、令和二年度の捕獲頭数は、くくりわなの設置により集落周辺の捕獲圧を強化したこともあって、過去最高の二千九百五十九頭であった。牡鹿半島及び内陸部におけるニホンジカの生息数は、令和二年度に石巻専修大学に委託して調査したところ、牡鹿半島に二千三百二十七頭、北上川南岸に四千四百十二頭、北上川北岸に七百二十六頭で、合計七千四百六十五頭が生息していると推計された。また、令和二年度はイノシシが六頭捕獲されており、イノシシの生息域拡大による農作物被害等の増加も懸念されている。 さらに、高齢化に伴う狩猟者の減少が課題となっており、捕獲の担い手を育成・確保するため、狩猟免許取得や捕獲技術講習会受講に対する助成等を行っている。 有害鳥獣の侵入防止対策については、鳥獣被害防止総合対策交付金を活用し、令和二年度は稲井地区及び大川地区にネット柵を設置し、また、市内三箇所にICT等を活用した大型の囲いわなを設置することで、ニホンジカ捕獲の効率化を図っている。 捕獲したニホンジカの一部は、解体処理施設等へ搬入され、県の管理下において全頭検査を行い、放射性セシウムの検査結果が国の基準値である一キログラム当たり百ベクレルを超えないものについては、出荷制限が一部解除され、加工品などが市内のレストランや道の駅などで販売されている。令和二年度は百六十一頭がジビエとして利用されたものの、捕獲した個体のほとんどは埋設処理されており、処理に伴う狩猟者等の負担が大きいことなどから、周辺市町も対象とした広域的な処理施設の整備が必要な状況となっている。四 県外調査 1 群馬県 群馬県の野生鳥獣による農林業被害額は、平成二十四年度の約十二億二千四百三十万円をピークとして年々減少していたが、令和元年度は若干の増加に転じ、約五億五千九百四十一万円であった。被害を及ぼしている主な野生鳥獣の捕獲総数は、平成二十二年度から増減を繰り返しているものの、全体として増加傾向にあり、令和元年度は過去最高の一万九千四百十七頭であった。内訳としては、ニホンジカの捕獲頭数が最も多く、令和元年度は九千三百四十頭であった。 群馬県では、平成二十六年度に「群馬県鳥獣被害対策基本方針」を定め、被害対策の基本である「守る」「捕る」「知る」対策を地域住民、市町村、県及び関係機関等と連携して総合的、計画的に実施している。 鳥獣被害対策の実施体制については、副知事を本部長とする「鳥獣被害対策本部」が鳥獣被害対策の中枢として全県的な対策の方向付けを行っている。また、地域における課題等を県の施策に反映させるため、県内の五つの農業事務所ごとに「地域鳥獣被害対策推進会議」が組織され、地域への対策技術の普及等を行っている。平成二十一年六月には、日本獣医生命科学大学と「野生動物対策推進に関する包括連携協定」を結び、県・市町村職員等を対象とした専門的研修を通じての人材育成や野生動物に関する共同研究などの取組を実施し、科学的根拠に基づく対策の推進を図っている。さらに、「鳥獣被害対策支援センター」が平成二十二年四月に設立され、「地域や農林業者が被害減少を実感できる対策の実現」に向けて、県内市町村が取り組む被害対策の支援を行うとともに、関係部局が所管する対策関連事業の調整を行うなど、被害対策の司令塔としての役割を果たしている。 地域ぐるみの被害対策については、平成二十二年度から「鳥獣害に強い集落づくり支援事業」に取り組んでいる。野生鳥獣による農林業被害等が深刻であるなどの地域住民による主体的な取組が見込まれる地区等を対象として、地域住民が県の地域機関や市町村とともに、勉強会・研修会の開催、集落環境調査・整備、捕獲体制の整備などに取り組んでおり、現在も七十四地区で実施している。 人材育成については、日本獣医生命科学大学との連携事業のほか、被害対策を実施する範囲に応じた知識・技術を有する高度専門技術者、地域対策指導者、地域リーダーを育成するための各種研修を実施するなど、必要な人材を必要な場所に確保するための体系的な人材育成プログラムを構築し、専門技術者等の確保を図っている。 隣接県等との広域的な連携については、平成二十二年度から、福島県、茨城県、栃木県、新潟県、埼玉県及び群馬県が参加する「北関東磐越六県野生鳥獣による農作物被害対策連携会議」を年に一回開催しており、県境における広域的な被害対策の実施や各県が有する鳥獣被害の課題解決に向けた協議などを行っている。また、栃木県及び埼玉県とは、個別に実務担当者による連携会議を立ち上げて、情報共有等を行う機会を設けるなど、隣接県と一層の連携強化を図っている。 2 栃木県 栃木県の野生鳥獣による農業被害額は、平成二十八年度の約三億八千万円をピークとして、近年は減少傾向にある。令和二年度は約二億六千万円で、このうち、イノシシによる被害額が約一億二千六百万円と全体の約半分を占めている。令和二年度は約一億二千六百万円であった。林業被害額は、平成二十七年の約二億七千万円をピークとして、近年は減少傾向にあり、令和二年度は約一億二千万円であった。 鳥獣被害対策の推進体制については、平成三十年度に、知事を本部長とする「鳥獣被害対策本部」と県内の五つの地方機関ごとに「地域鳥獣被害対策連絡会議」を設置し、地域の実情を踏まえた被害防止対策を推進している。 また、宇都宮大学が文部科学省の「里山野生鳥獣管理技術者養成プログラム」に採択されたことを受け、平成二十一年度から、同大学と連携して、地域に密着した野生鳥獣管理対策のリーダーとなる人材の育成に取り組んでいる。「獣害対策地域リーダー育成事業」では、同大学と連携し、地域ぐるみの獣害対策推進に必要な専門的知識と技術を有し、各地域で指導者となる人材を育成するためのカリキュラム形式の研修に加えて、地域特有の課題の解決に向けた人材を育成するための地域課題解決研修を行っている。これらの取組などにより、栃木県では、令和三年四月時点で、一般社団法人鳥獣管理技術協会が認定する「鳥獣管理士」の資格を全国で最も多い百二十一人が取得している。 地域ぐるみの被害対策については、平成二十九年度から「とちぎ獣害対策アドバイザー派遣事業」に取り組んでおり、農林業被害が深刻であるなどの獣害対策が必要な集落に、専門的な知識や技術を有する鳥獣管理士を派遣し、集落点検や被害対策の計画作成を住民と協力して行うなど、住民主体の効果的かつ継続的な獣害対策の実施を支援している。また、令和三年度は、「農業被害防止対策サポーター事業」として、農作物被害に悩む個別の農家に対して、鳥獣管理士と県・市町が連携し、迅速かつ的確な指導を行うなどの支援も行っている。 3 株式会社馬頭むらおこしセンター(栃木県那須郡那珂川町) 株式会社馬頭むらおこしセンターは、「道の駅ばとう」を運営しており、道の駅ばとうでは、栃木県の八溝山系地域で捕獲され、那珂川町イノシシ肉加工施設で加工された野生のイノシシ肉「八溝ししまる」を使用した食品や料理を販売・提供している。 なお、栃木県で捕獲されたイノシシ肉については、原子力災害対策特別措置法に基づき、出荷制限等が指示されているが、那珂川町イノシシ肉加工施設で受け入れ、全頭検査を実施した上で国の基準に適合するとされたイノシシ肉については、平成二十三年十二月五日付けで出荷制限が解除されている。 那珂川町イノシシ肉加工施設は、町営の施設であり、農作物に多大な被害を及ぼすイノシシを捕獲し、その肉を地域資源として特産品化することによって、農作物への被害を軽減することに加え、那珂川町への人の流れを創出して地域の活性化を図る目的で、平成二十一年四月に整備された。総事業費は三千八百万円で、年間の処理能力は五百頭となっている。捕獲されたイノシシを町が買い取るため、捕獲者自らが埋設処理等を行う必要がなく、捕獲報酬も通常どおりに支給されることから、狩猟者のモチベーションの維持につながっている。施設の運営等に係る予算は令和元年度で約二千二百八十万円であり、同年度の販売実績額は約千六百三十万円であったため、数字上は約六百五十万円の損失となっているが、イノシシの捕獲頭数の増加等に伴い、同年度のイノシシによる農業被害額は、平成二十四年度比で約七百二十万円減少していることから、町としては、全体として採算がとれているとの認識であるなどの説明を受けた。五 総括・提言 これらの調査結果を踏まえ、本委員会は、「拡大する鳥獣被害の現状と防止・軽減対策」について検討し、次のとおり取りまとめた。 1 鳥獣被害の防止・軽減対策について  (一) 野生鳥獣による農作物の被害を効果的に防止するためには、農業者だけではなく、集落等の地域住民が鳥獣被害を共通課題と認識するとともに、地域ぐるみで鳥獣被害対策を実施することが重要であることから、県は、引き続き鳥獣被害対策のモデル地区を設定するなど、地域住民が一体感を持って継続的に鳥獣被害対策に取り組むための支援等に努めること。また、地域において適切かつ効果的な対策知識が共有され、普及するよう、専門技術者等の定期的な派遣や紹介等の支援を行うこと。  (二) 県は、狩猟者の負担軽減及び感染症対策の観点から、市町村と連携して、減容化処理施設等の整備に向けた支援を行い、狩猟者が捕獲活動に専念できる体制を構築すること。また、市町村単位で処理方法が異なっている現状を踏まえ、複数の市町村を対象とした広域的な処理施設の整備に向けた議論を進めること。  (三) 有害鳥獣による各種被害は県内各地に拡大しており、防疫上の観点からも広域的な対策の強化が必要となることから、県は、ドローンやGPS位置情報等のICTを活用した広範囲かつ効率的な調査手法も導入しつつ、市町村の枠を超えた広域的な捕獲対策等を実施すること。  (四) 県は、引き続きカワウによる内水面漁業被害の実態把握に努めつつ、今年度策定した管理指針に基づき、関係機関と連携の上、被害防止・軽減に向けた取組を強化すること。 2 狩猟者の育成・確保について  (一) 県は、鳥獣被害の防止に必要な人材を確保するため、狩猟免許の取得を検討する者に対して、関係団体等と連携の上、免許取得までのフォローアップを積極的に行うとともに、狩猟者及び関係団体等の捕獲活動に要する経費に対しても、一層の財政的支援を行うこと。  (二) 県は、引き続き狩猟者の捕獲技術の維持・向上を目的とした研修会等を定期的に開催するとともに、より高度な技術や知識を有する人材を育成するための研修会等を開催することで、効率的かつ確実な捕獲の実施を図ること。また、銃猟者の捕獲技術の維持・向上を図るため、引き続きライフル銃及びスラッグ弾の射撃訓練場の更なる整備を検討すること。 3 ジビエの利活用について 県は、ジビエの流通販売による利活用を希望する事業者や市町村等から相談があった際には、資源利用に関する適切な情報を提供するとともに、出荷制限の解除及び事業化に向けた必要な支援を行うこと。 4 鳥獣被害対策に係る推進体制について  (一) 県は、鳥獣被害対策を強力に推進するため、一元的に情報を集約し、全県的な対策の方向付けを行う組織体の設置や、地域の実情に応じた効果的な対策を集中的かつ機動的に行う体制の整備など、組織体制の抜本的強化を検討すること。  (二) 県は、大学や民間団体等の研究機関と連携して、鳥獣被害対策に関する共同研究や人材育成等の取組を実施するとともに、市町村への支援体制の整備を含め、野生鳥獣管理学等の知見に基づいた被害対策の推進を図ること。  (三) 県は、県境における広域的な被害対策の実施を図るため、隣接県と連携会議を立ち上げて、共通課題の解決に向けた協議や情報共有等を行う機会を設けるなど、一層の連携強化を図ること。 以上、これらの提言が今後の県の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。  令和三年十一月十九日            宮城県議会鳥獣被害対策調査特別委員長 菅間 進 宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(菊地恵一君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。-----------------------------------自然災害対策調査特別委員会調査結果報告 ○議長(菊地恵一君) 日程第五十九、自然災害調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。自然災害対策調査特別委員長、四十三番坂下賢君。    〔四十三番 坂下 賢君登壇〕 ◆四十三番(坂下賢君) 自然災害対策調査特別委員会の調査結果について、御報告申し上げます。 本委員会は、自然災害対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和二年十二月十六日に設置されました。 付議事件、自然災害対策に関する諸施策についてを受け、一、令和元年東日本台風(台風第十九号)の被害状況と生活再建状況、二、多発する豪雨災害等の風水害の防災・減災対策、以上を調査項目として、県関係部局から県施策の概要を聴取するとともに参考人からの意見聴取を行ったほか、県内・県外調査を実施して検討を重ねて参りました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して、御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………    自然災害対策調査特別委員会報告書 自然災害対策調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、自然災害対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和二年十二月十六日に設置され、付議事件「自然災害対策に関する諸施策について」を受け、調査項目を以下の二項目とした。一 令和元年東日本台風(台風第十九号)の被害状況と生活再建状況二 多発する豪雨災害等の風水害の防災・減災対策 以上の項目について、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、参考人意見聴取を実施した。参考人として招致したのは、宇都・山田法律事務所弁護士の宇都彰浩氏、東北大学大学院工学研究科教授の田中仁氏の二人である。 また、県内の実情を把握するため、丸森町、地域支援団体Connect Feelings、角田市及び山元町の取組について調査を実施したほか、他県における先進事例を参考にするため、国土交通省北陸地方整備局北陸技術事務所及び新潟県の取組について調査を行った。 調査結果の概要は、次のとおりである。一 現状と課題 1 令和元年東日本台風(台風第十九号)の被害状況と生活再建状況  (一) 令和元年東日本台風(台風第十九号)の被害状況及び復旧状況等の概要   (1) 被害状況 令和元年十月十二日から十三日にかけ、本県沿岸を通過した令和元年東日本台風(台風第十九号)(以下「令和元年東日本台風」という。)は、全国の広い範囲に記録的な大雨をもたらし、本県でも、降り始めからの総雨量が五百九十四・五ミリメートル、最大二十四時間雨量では五百八十八ミリメートルに達するなど、短時間に猛烈な雨が降った。 これにより、県内でも甚大な被害が発生し、令和二年九月末現在で、人的被害が死者二十人、行方不明者二人等となっているほか、住家被害が全壊、半壊等合わせて約二万棟に上った。 また、県の各部局が所管している施設の被害額については、合計で千六百四十一億円余りに上っており、特に、公共土木施設や農業用施設等に被害が集中している。   (2) 復旧状況 被災した中小企業者等に対しては、国と連携して中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業(グループ補助金)を活用し、施設・設備の復旧整備等の支援を行っており、県全体で二十七グループの復興事業計画を認定し、百四十一件の交付決定を行った。 県管理の河川被害のうち早期復旧が必要な堤防決壊河川については、応急復旧工事を完了している。また、県管理の国・県道についても、啓開、応急復旧作業を進め交通の確保を図っている。公共土木施設災害復旧事業については、現在、早期復旧に向けて工事発注手続を進めている。丸森町内の県管理河川(内川、五福谷川、新川)及び国道三百四十九号については、国の直轄権限代行による災害復旧事業に着手している。内川流域の土砂災害については、国の直轄砂防事業に着手している。復旧に期間を要する揚水機場等については応急工事に着手している。また、農業用機械の導入は概ね完了しており、施設についても復旧作業が進んでいる。その他、林道施設、林地施設、治山施設、林産施設、水産施設、漁港施設、海岸施設についても復旧作業が進んでいる。  (二) 令和元年東日本台風の被災者生活再建事業及び支援等の概要   (1) 被災者生活再建支援制度 今回の災害により県内で百世帯以上の住宅が全壊する被害が確認されたことから、被災者生活再建支援制度を県内全域に適用した。このうち、大崎市、角田市、柴田町、丸森町の四市町については、当初の基礎支援金申請期間では申請が困難な世帯(半壊解体世帯)が発生することから、一年間の期間延長を決定した。 今後は、基礎、加算支援金の未申請世帯解消に向けて、継続的な広報を行っていく。   (2) 令和元年東日本台風の被災者に向けた応急仮設住宅の相談受付 応急仮設住宅への入居相談のため、相談窓口を設置し、入居申込みを受け付けた。 なお、入居者に実施した住宅再建意向調査において、二年間での住宅再建が果たされないと見込まれる方々が確認されたことから、今後、応急仮設住宅の供与期間の延長について内閣府と協議し同意を得たい。   (3) 令和元年東日本台風で被災した国民健康保険被保険者に係る一部負担金等の取扱い 県内三十一市町村において国民健康保険一部負担金の免除及び国民健康保険料()の減免を実施した。対象世帯数は延べ三千六百十五世帯、免除等額は四億円余りである。   (4) 令和元年東日本台風被害に係る中小企業者支援 施設・設備の損壊や売上げの減少などの被害を受けた中小企業者に対し、災害復旧対策資金及びセーフティネット資金の県制度融資により、円滑な資金調達を支援した。また、中小企業者が借り入れた資金について、市町村が利子補給を行った場合、実施市町村に対し補助金を交付した。さらに、中小企業者の経営等に関する相談窓口を設置した。 今後は、これらの支援に加えて、被災中小企業者が新型コロナウイルス感染症の影響により更に資金繰りが悪化した場合には、県制度融資の新型コロナウイルス感染症伴走支援型資金等により資金繰りの支援等を実施することとしている。 2 多発する豪雨災害等の風水害の防災・減災対策  (一) 避難勧告等 令和元年東日本台風では、県内全市町村において警戒レベルを付した避難勧告等を発令し、住民の避難行動を促した。本県としても、県総合防災情報システム及び災害情報共有システムにより、報道機関を通じて広く住民へ発令内容等を周知したほか、県内全市町村に対し事前に避難勧告等の発令に関する注意喚起を行い、的確な発令につなげた。 しかしながら、避難勧告等が発令されても自宅にとどまり被災した住民や、避難勧告等が継続発令中にもかかわらず、大雨特別警報の解除をもって帰宅した住民等がいたことから、今後、市町村に対して、より的確な発令の支援や速やかな発令判断の助言等を行っていくとともに、地域住民の自主的な避難行動につなげる取組を行うことが必要である。また、国において、災害対策基本法の改正を受け、避難勧告等の見直しを行っていることから、公表され次第、内容を確認の上、速やかに市町村向け説明会を開催するなど、周知徹底を図る。  (二) 防災行政無線 防災行政無線については、令和二年度末現在で、二十八市町村が同報系システムを整備しているほか、二十六市町村において戸別受信機を全戸又は一部世帯に配布している。 令和元年東日本台風の接近時には、防災行政無線のほか、緊急速報メールなど複数の手段により、一人でも多くの住民に情報が伝達されるよう努めた。本県においても、地上系、衛星系の二系統が機能しており、県と市町村との通信が確保され、被災状況などの把握や情報の伝達を行うことができた。 しかしながら、一部地域において、屋外スピーカーの音声が風雨でかき消され、発信した避難勧告等が聞き取れなかったという事例があり、そうした市町村にあっては、情報伝達手段の更なる冗長化を検討する必要がある。また、防災行政無線を整備していない市町村に対し、財政支援制度などを更に周知していくとともに、SNSなど新たな情報伝達手段の活用について、市町村へ情報提供等をしていく必要がある。  (三) 地域防災力向上への取組(自主防災組織、宮城県防災指導員等) 本県では、「自助」、「共助」による市民レベルの防災体制の強化を目的として、地域の防災リーダーを養成する講習等を実施しており、修了者を宮城県防災指導員として位置付け、活動の推進を図っている。また、大学等と連携し、市町村が行う自主防災組織の育成・活性化に係る取組の支援のほか、「自助」、「共助」の取組等について、出前講座等の機会を通じて情報発信し、県民の防災意識の普及啓発に努めている。 しかしながら、組織内の役割分担の不備や市町村との連携不足から、避難行動要支援者への対応などがうまくいかなかった事例もあった。また、早期避難の呼びかけを行ったものの、過去の災害経験に基づく自己判断により、適切な避難行動に至らなかった住民もおり、住民の防災意識に課題が残った。 そのため、経験・教訓の普及啓発や防災意識の向上を目的に、防災フォーラムを開催したほか、各種広報媒体を活用し、マイ・タイムラインの作成・活用について普及啓発を行った。今後は、引き続き宮城県防災指導員の養成・フォローアップ事業や、アドバイザー派遣事業等の実施、市町村や関係団体と連携した自主防災組織の活性化支援など、地域防災力の更なる強化に向けた取組を継続することとしている。  (四) 宮城県国土強靱化地域計画 「宮城県国土強靱化地域計画」は「国土強靱化基本法」に基づく計画として策定したものであり、災害に強い地域づくりに向け、県が取り組むべき施策を推進方針として取りまとめたものである。計画策定に当たり、大規模自然災害に対する脆弱性を評価し、取り組むべき課題を明確化させており、事前防災や減災に向けた施策を推進した結果、河川整備等のハード対策による浸水被害の軽減のほか、緊急速報メール等を活用した避難情報の伝達、自主防災組織による防災活動などソフト対策による効果も見られた。 しかしながら、令和元年東日本台風の際は、十八河川三十六箇所で堤防が決壊したほか、排水機場の排水機能を上回る洪水が発生し、機械設備等が水没したことで排水不能となるなど、多くの被害が発生した。 令和三年度からの新計画においては、令和元年東日本台風の経験も踏まえ、堤防機能の強化や内水対策、排水機場の復旧及び再度の被害防止対策、下水道施設の耐震化・浸水対策等のほか、河川流域情報システム(MIRAI)の機能強化・拡充や、災害派遣福祉チーム、防災指導員等の人材育成など、様々な事前防災・減災対策を推進し、県土の更なる強靱化に取り組むこととしている。また、市町村における地域計画の早期策定に向けた研修会を開催するなどの支援を継続することとしている。  (五) 災害に強い川づくり緊急対策事業~アクションプラン~ 本県では、平成二十七年九月の関東・東北豪雨を契機として、「災害に強い川づくり緊急対策事業~アクションプラン~」を策定し、令和二年度までに緊急かつ集中的に対策を推進することとしている。 令和元年東日本台風では、これまで整備してきた洪水防御施設が一定の効果を発現するとともに、アクションプランにより加速化を図って取り組んできた河川整備や堆積土砂撤去、支障木伐採により、浸水被害を軽減した河川もあった。また、増設した水位計等の情報が円滑かつ迅速な避難行動に活用された。 しかしながら、県内各地域で観測史上最大の降雨となり、各所で被害が発生した。また、洪水時における降雨や水位などの情報を一般向けに発信する河川流域情報システムについても、アクセスの集中により、一時的に閲覧しにくい状態が発生した。 今後は、令和元年東日本台風による被災箇所の迅速な災害復旧を図るとともに、災害復旧と一体となった一連区間の改修により、更なる水害リスクの軽減を図ることが求められる。また、令和元年東日本台風による甚大な被害は、関東・東北豪雨からわずか四年でそれを上回ることになったことから、県内の治水安全度を再検証し、ハード、ソフト、流域治水対策が一体となった河川整備の行動計画となる新たなアクションプランを策定し、引き続き対策を講じていくことが必要である。  (六) 市町村に対するハザードマップ(洪水・土砂災害)の策定支援 市町村は、国や県が作成、公表した「洪水浸水想定区域図」に基づき、洪水ハザードマップを、また、県から提供された警戒区域の地図データに基づき、土砂災害ハザードマップをそれぞれ策定することとなっている。 令和元年東日本台風の発生時点では、対象となる二十四市町村中、十二市町村で洪水ハザードマップが作成済みとなっており、円滑かつ迅速な避難行動に寄与した。また、県内全ての市町村において、土砂災害ハザードマップが作成されており、気仙沼市などでは、例年実施している総合防災訓練において、土砂災害ハザードマップを活用した訓練を実施した。 しかしながら、堤防が決壊した十八河川のうち、洪水浸水想定区域図が作成されていたのは二河川にとどまったことから、本県では、必要な全ての河川の洪水浸水想定区域図を、令和四年度までに作成することとしている。また、洪水ハザードマップが未作成の市町村に対しては、早期の作成を促すとともに、土砂災害ハザードマップの作成から時間が経過し、近年指定された土砂災害警戒区域等が反映されていない市町村に対しては、見直しのための財政支援として、防災安全交付金の活用を再度促す。さらに、砂防総合情報システムの高解像度化・高頻度化など改修を実施し、住民に適切な情報提供を行うとともに、意識醸成が図られるよう市町村が開催する防災訓練等において、出前講座を行っていく。  (七) 土砂災害警戒区域等の指定 土砂災害警戒区域等については、令和三年二月末現在、八千六十四箇所、約九十八%の指定率となっており、指定に伴う基礎調査では、地区住民や地権者などを対象に調査結果説明会を開催し、関係者に土砂災害警戒区域等の予定指定区域を示した図書を郵送し、土砂災害のおそれがある土地の周知が図られたと考えている。 しかしながら、令和元年東日本台風の際には、土砂災害の発生が危惧されるにもかかわらず県民の避難行動が伴わない場合が見受けられるとともに、土砂災害警戒区域等の指定基準に満たない場所や地形図判読では危険箇所を把握することが困難な場所も被災した。 今後は、土砂災害警戒区域等の指定を急ぐとともに、土地の改変があった場所の基礎調査を実施し、土砂災害警戒区域等の指定を着実に行っていく。また、国の土砂災害防止対策基本指針の変更に伴い、土砂災害警戒区域等の新規指定に向けた基礎調査などの実施等についても検討を行うこととしている。  (八) 要配慮者の避難対策 本県では、災害時に避難行動要支援者等に対する支援を適切かつ円滑に推進するため、「宮城県避難行動要支援者に対する支援ガイドライン」を平成二十五年に改定した。このガイドラインでは、市町村における「避難行動要支援者名簿」や要支援者の個々の状況に応じた個別の避難計画である「個別計画」の策定、また、福祉避難所の設置のそれぞれについて県の基本的な考え方を示しており、これらの実施主体である市町村に対し整備を促している。「避難行動要支援者名簿」の策定は県内全市町村で終えており、「個別計画」は、令和元年六月時点で、四市町が全部策定済み、七市町が一部策定済みとなっている。福祉避難所は、令和元年七月時点で、三十四市町村で七百十箇所が指定されている。 令和元年東日本台風において、「避難行動要支援者名簿」は、市町村から名簿情報の提供を受けている民生委員等により、安否確認や避難の呼びかけに活用された。また、福祉避難所は、十市町で開設されたほか、三市町で指定避難所の一部に福祉避難スペースが設けられた。 しかしながら、「個別計画」の策定率が低いことから、令和元年東日本台風では「個別計画」が活用された避難は少なかったと認識している。また、令和元年東日本台風では、福祉避難所に指定されている施設が浸水等の被害を受けたため、福祉避難所の開設が遅れたケースもあった。 これを踏まえ、本県では、「個別計画」の策定が進んでいる県内の市町の事例等を収集し、各市町村に情報提供していくことで「個別計画」の策定及び活用を促進していく。また、福祉避難所の指定が少ない市町村に対し、地元の福祉施設等との協定の締結を促進していく。  (九) 防災重点ため池に関する取組 農業用ため池に係る防災減災対策については、国の「国土強靱化アクションプラン」等に基づき、ハザードマップ作成等のソフト対策、また、地震・豪雨に対する詳細調査を行い、対策工事を実施する等のハード対策に着手している。その結果、ハザードマップの作成により、関係住民の防災意識の向上につながったほか、浸水想定区域図を作成し、想定被害調査を実施したことにより、監視体制を強化する必要性が高いため池が明確となった。 令和元年東日本台風の豪雨により決壊したため池においては、ワークショップの開催等により関係住民にハザードマップの内容は周知されていたが、事前の避難行動には結びつかなかったほか、一部のため池においては、管理者と関係行政機関との連絡体制の整備が未了であったことから、被害調査を含む点検作業に時間を要することとなった。 これを踏まえ、本県では、市町村と連携して、ハザードマップの作成等のソフト対策のほか、地震・豪雨に対する詳細調査及び対策工事等において、最新の気象データ等を用いて施設設計を行うなどのハード対策を行っており、今後も引き続き市町村と連携して計画的かつ集中的に取り組むこととしている。  (十) 排水施設のストックマネジメント 県内の農業用排水機場については、標準耐用年数を超過している施設が平成二十七年度の時点で約七割に上ることが確認されたことから、これらの施設の状態の適正な把握と長寿命化を図るため、定期的な施設の機能診断の実施や機能保全計画の策定を行い、計画的な対策工事を実施している。その結果、令和元年東日本台風の際には、多くの排水機場で、従来の能力を発揮し、円滑な湛水の解消に寄与した一方で、河川堤防の決壊や越水等により、電気設備等が浸水被害を受け、稼働不能となった排水機場もあった。 したがって、これまで進めてきた施設の長寿命化対策に加え、浸水被害の軽減対策の実施が求められる。新規計画地区では、浸水履歴に対応した電気設備類の高位部化等を考慮した排水機場の整備更新を施設管理者と連携しながら進め、施設の機能維持に努めることとしている。  (十一) 山地災害の防災対策 本県では、山地災害が発生するおそれの高い民有林の二千二百三十六箇所を「山地災害危険地区」に指定し、定期的な点検を行うほか、大雨などの後には随時、現場を確認している。このうち、災害が発生した箇所や発生の危険性の高い箇所については、治山施設の設置等の治山事業を実施している。近年は、異常気象に伴う山地災害が全国各地で頻発していることを踏まえ、国の「防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策」に基づき、流木捕捉式治山ダムを導入するなど流木対策の取組も開始している。 令和元年東日本台風では、山腹崩壊が二百二十一箇所発生したが、治山ダム等の施設を整備した地区では、渓床の浸食や渓岸の崩壊が抑制され、被害の軽減が確認されており、従来整備した施設が機能したものと認識している。 しかしながら、山腹が崩壊した多くの地区では、山地災害危険地区の指定がされていない状況であり、緊急に復旧整備を実施する必要がある二十一箇所は、令和元年度から災害関連緊急治山事業に着手し復旧整備を進めている。それ以外の箇所も、市町村の意向を踏まえながら、復旧治山・緊急総合治山事業等により必要な対策を計画的に進めている。また、崩壊が山地災害危険地区以外でも多く発生した結果を踏まえ、市町村などからの要望に基づき、現地調査等を行い、新たに三十箇所の指定を進めている。二 参考人からの意見聴取 1 宇都・山田法律事務所弁護士 宇都彰浩氏 宇都氏からは、丸森町における令和元年東日本台風の被災者支援や災害ケースマネジメント等について説明を受けた。  (一) 復興の目的と被災者支援について 復興の目的は、被災者ができるだけ早期に、被災前の持続可能な生活を可能な限り取り戻すことであり、被災者支援の目的は、被災者が持続可能な生活を取り戻すことを支援することである。被災者の生活を再建するにあたって、インフラの復旧など様々な事業が行われるが、それは被災者が復興するための手段であると述べた。  (二) 東日本大震災の被災者支援の経験から見えた課題 東日本大震災における在宅被災者は、避難所や仮設住宅に移った被災者と同じ被災者であり、その多くが健康課題や福祉、家族間の問題などを抱えているが、物資や情報(物資の支給場所、支援制度の情報等)が避難所やプレハブ仮設住宅に集中し、在宅被災者やみなし仮設住宅の被災者には行き渡らなかった。 また、被災当時に居住していた住宅の被災状況によって受けられる支援制度が決まっているが、現行の支援制度の支援額が住まいの再建のためには不十分であった。 さらに、各種支援金・補助金制度が用意されていても、申請主義であり、各種支援金・補助金制度の情報が被災者に届かなければ使えない。情報が届いても各種支援金・補助金制度の内容を被災者が理解できなければ使えないという問題があったと述べた。  (三) 丸森町における令和元年東日本台風の被災者支援 令和元年東日本台風の応急修理制度については、仕事が忙しく自宅の修繕が後回しになったところ、受付期限が過ぎてしまった、一部損壊から半壊に変更になり、申請期限までの検討時間がなかったなどの理由で、推定で約二百件が未利用となっている。 また、災害ゴミの受入れが、全て完了と報告されているが、被災後、パワーレスに陥り片づけができず、ゴミが放置されている被災者が確認されている。 さらに、被災家屋の解体・撤去費用の支援について、相続関係の処理が終了していない、再建方針について家族間で考えが合わない、上下水道や道路の復旧、河川工事計画の見通しが立たないなどの理由で解体・再建の見通しが立てられないまま、申込期限が終了してしまったケースがあった。公費解体が終了してしまうと、被災家屋が被災当時のまま地域に残されてしまい、地域としての復興や防災・防犯上も課題を抱えたままになってしまうという懸念がある。 くわえて、認知症を抱えた仮設住宅入居者に対する地域福祉へのつなぎがうまくいかなかった事例があり、町の福祉関係機関や地域支え合いセンター等の機能に対して疑問が残ると述べた。  (四) 災害ケースマネジメントの提案 東日本大震災や令和元年東日本台風の経験から、被災者は住家の被害だけでなく、失業や収入の減少、家族の死亡、受傷、病気や介護の発生、家財や自動車など動産類の損害など様々な被害を受ける。被災前の生活状況や抱える問題は人それぞれであり、被災の程度も異なることから、必要な支援も多様である 被災者一人一人に寄り添い、個別の被災の状況を把握し、行政のみならず様々な専門家やNPO等が連携し、支援計画を立て、施策をパッケージ化して支援を実施していく仕組みを作ることが必要である。 行政施策は縦割りになってしまうため、支援関係者が情報を共有するケース会議を行うなど、各種専門家へのつなぎといった調整を行う災害ケースマネジメントが必要であると述べた。 2 東北大学大学院工学研究科教授 田中 仁氏 田中氏からは、令和元年東日本台風に関する東北学術合同調査団調査結果について及び本県の今後の治水対策の在り方について説明を受けた。  (一) 令和元年東日本台風に関する東北学術合同調査団調査結果 今回の台風については、外水氾濫と内水氾濫の区別が必要であり、阿武隈川本川では破堤が生じておらず、支川で破堤が生じた。 降雨については、記録を更新する雨の降り方であり、ここ数年、同様のことが毎年のように起こっており、設定した降雨量、あるいは流量の計画規模を超えるものがあるという想定を行うとともに、気候変動を考慮した治水安全度の向上を図ることが必要である。 次に、堤防の強靱化、いわゆる粘り強い堤防の整備が必要である。また、水位観測所が水没する被害が発生していることから、水位計の高さを高くすることや水位計の増設などの対策が求められている。 丸森町は、高齢化世帯が多く、高齢者等に対しての情報の伝達と避難の体制の確保が重要である。 また、丸森町の中心市街地形成の歴史や町役場の移転を調査した結果、河川の整備が進むにつれて、水害の可能性が高い低平地に市街地が形成されていったことが分った。住んでいる場所がどのような歴史を持っているのか、地域での災害文化の伝承が大変重要である。 さらに、各河川の状況に合わせた遊水機能の確保なども重要であると述べた。  (二) 宮城県の今後の治水対策の在り方について 宮城県における今後の治水対策について、以下の八つの提言があった。 まず、一つ目として、計画規模を超える気候変動を考慮した治水安全度の向上が必要である。 二つ目に、粘り強い堤防などの災害に強い河川及び河川管理施設の継続的な整備が必要である。 三つ目に、堆積土砂の撤去や支障木の伐木など、治水安全度の継続的な維持を目的とした適切な維持管理が必要である。 四つ目に、既存のダムの治水機能の強化や事前放流、雨水浸透ますの強化など、既存河川管理施設を有効活用した更なる減災対策が必要である。 五つ目に、マイ・タイムラインの作成など、住民の主体的な避難行動につなげるための平時の取組による住民の防災意識向上が必要である。 六つ目に、避難判断のための様々な情報を得るに当たって、ドローンの活用や、SNSによる洪水リスク情報提供が必要である。 七つ目に、過去の災害などを新しい住民にいかに伝えるかといった災害伝承の在り方を検討する必要がある。 八つ目に、これらを合わせた総力戦、流域全体で考える流域治水の考え方が重要であると述べた。三 県内調査 1 丸森町 丸森町から、令和元年東日本台風による被害概要と復旧・復興の状況及び被災者支援の取組などについて説明を受けるとともに、被災現場の視察も行った。 災害復旧・復興への課題のうち、財政的な課題として、激甚災害の指定や災害救助法に基づく財政支援の対象とならない復旧経費も膨大になることが見込まれ、一般財源の確保が急務となっている。 人的な支援の課題として、国・県・他市町村から支援を受け、被害状況の調査等を進めてきたが、専門的人材、特に専門的な知識を有した技術職員等は、短期的・中長期的に多くの人員が不足する見込みであることから、国・県・他市町村・民間企業等に派遣を要請している。 また、被災者支援の課題として、支援の継続と終了の見極め、行政と民間団体の協働の在り方、仮設住宅に一年以上入居している住民の意欲の低下(「幻滅期」の到来)、復旧事業の進捗の差等による被災者の「取り残され感」や復旧への意識の差などが挙げられる。 2 地域支援団体Connect Feelings 地域支援団体Connect Feelingsから、丸森町における令和元年東日本台風による被害及び復旧・復興の課題などについて、現地視察を行いながら説明を受けた。 被災地の現状として、山から引いた水道が雨の度に流され止まってしまうなど、災害復旧工事が完了するまで不安の中で住民が生活している。 復旧・復興の課題として、遊砂地の建設や道路の復旧工事の計画について、丸森町側からの情報が不足しており、住宅の再建の見込みが立たないなどの問題がある。また、継続的な見守りが必要な世帯は四百五十世帯ほどあるが、丸森町が見守りを行う中で、住宅被害などについて専門的目線が足りなく、詳細を把握していないケースがあるのではないか、一軒一軒に合った見守りが必要であるとの説明を受けた。 3 角田市 角田市から、令和元年東日本台風による被害概要と復旧・復興の状況などついて説明を受けるとともに、被災現場の視察も行った。 角田市の河川災害に対する防災減災対策の課題として、角田市は支流が多く、河川断面が小さい上に、排水機能が脆弱である。この課題に対して、ハード面では被害が集中した住宅密集地や河川等近接地を被害発生原因ごとに分類・分析し、対策等をまとめた「角田市防災・減災構想」を整備し、今後の大雨等による災害への対策を検討している。具体的には江尻排水機場の機能強化、小田川及び尾袋川の改修及び河道掘削を計画していると述べた。 ソフト面では地域防災計画を整備し、避難の体制等の整備に努めると述べた。 4 山元町 山元町から、令和三年二月十三日に発生した福島県沖を震源とする地震の被害及び復興状況、各種支援の状況等について説明を受けるとともに、被災現場の視察も行った。 災害救助法について、避難所の避難者数や、町単位や県内全域での被害件数により、適用とならなかったが、県内全域ではなく山元町だけに限ってみれば、隣県の福島県新地町と同程度の被害状況であり、また、被害額も大きなものとなっている。県による災害救助法適用の可否により、同等の被害を受けている市町村に対する支援に格差が生じている状況であるとの説明を受けた。 こうした災害救助法等の見直し、及び災害救助法等が適用とならない場合の新たな支援対策等の法整備について、国に対して要望活動を実施するよう要望を受けた。四 県外調査 1 国土交通省北陸地方整備局北陸技術事務所 国土交通省北陸地方整備局北陸技術事務所から、北陸地方整備局の防災支援などについて説明を受けるとともに、災害対策車両等の防災設備の見学、降雨体験装置などの体験型学習の視察も行った。 北陸地方整備局では、新潟県、富山県、石川県のほか、山形県、福島県、長野県、岐阜県、福井県の広範囲にわたり防災支援を行っている。視察を行った新潟防災センターでは、遠隔操縦対応型バックホウや対策本部車、応急組立橋、各種排水ポンプ車など最新鋭の災害対策用機械を有しており、令和元年東日本台風や熊本地震等の復旧作業等に派遣を行っている。 また、大規模災害の際に、地方公共団体だけでは対応が難しい場合などに被災地へ出向き、技術的助言や災害対策用機械による応急対策などを実施するTEC-FORCEなどの派遣も行っている。 2 新潟県 新潟県から、新潟県防災局の概要、被災者生活再建支援業務・システムなどについて説明を受けた。 新潟県防災局は危機に対して一元的に対処する危機管理センターを整備しており、被災地映像の収集や防災情報の集約、市町村等への災害対応支援、県民への情報提供などを行う総合防災情報システムにより災害対応を行っている。 また、市町村の災害時の業務を支援するために、被災者生活再建支援業務の標準化及び被災者生活再建支援システムの導入を行っている。被災者生活再建支援システムは建物被害認定調査や調査結果のデータ化、り災証明書の発行、被災者台帳管理などを一元的に行うシステムであり、これにより、災害発生から生活再建までの各段階における支援の円滑化を図っている。 その他、市町村職員等への研修、災害ボランティアへの研修会、避難所開設の研修会、コロナ禍における避難所運営についての研修会の開催などの取組を行っている。五 総括・提言 これらの調査結果を踏まえ、本委員会は「自然災害対策の課題及び諸施策」について、次のとおり取りまとめた。 1 令和元年東日本台風の被害状況と生活再建状況 令和元年東日本台風においては、従来の防災・減災対策が一定の成果を発現した。被災後、被災市町においては、国・県・他市町村からの支援を受け、被害状況の調査や被災箇所の復旧などを進めている。また、被災者の生活再建については、発災から二年が経過した現在も、被災市町において取組が進められている。 しかしながら、被災市町では専門的人材、特に専門的な知識を有した技術職員等の人員が、短期・中長期的に不足している。また、激甚災害の指定や災害救助法に基づく財政的支援の対象とならない復旧経費が増加しており、財源の確保が急務となっている。くわえて、被災者に必要な支援は多様であることから、被災者一人一人に寄り添う支援方法が求められている。このことから、県は次の取組を行う必要がある。  (一) 人的支援 令和元年東日本台風の被災市町に対し、専門的人材、特に専門的な知識を有する技術職員等を短期・中長期的に派遣すること。  (二) 財政的支援 令和元年東日本台風の被災市町において、激甚災害の指定や災害救助法に基づく財政的支援の対象とならない場合、被災市町における復旧経費が膨大となるため、これらの財政的支援の柔軟な取扱いについて、国に対して要望を行うこと。  (三) 災害ケースマネジメントへの支援 令和元年東日本台風の被災者に必要な支援は多様であるため、被災市町が災害ケースマネジメントを実施できるよう、被災市町に対し、各種専門家や専門知識を有した職員の派遣などの支援を実施すること。 2 多発する豪雨災害等の風水害の防災・減災対策 近年では、豪雨災害が頻発化、激甚化しており、今後、これまでと同程度又はこれまで経験したことのない規模の風水害が発生しても被害を最小限にとどめ、県民が命を守る行動ができるよう、ハード面・ソフト面の両方の強化が求められている。また、計画規模を超える気候変動に対処することは、従来の河川管理方法のみでは困難であり、様々な主体が連携し、流域全体で一元的に対処する流域治水の考え方が求められている。このことから、県は次の取組を行う必要がある。  (一) ハード面の強化 計画規模を超える気候変動を考慮した治水安全度の向上、災害に強い河川及び河川管理施設の継続的な整備、治水安全度の継続的な維持を目的とした適切な維持管理、既存河川管理施設の有効活用など、ハード面に関する更なる強化を図ること。  (二) ソフト面の強化 マイ・タイムラインの作成など、平時の取組による住民の防災意識向上や、災害伝承の在り方の検討、SNSなどを用いた避難判断のための情報提供の工夫、災害ボランティアや市町村職員への災害対応の研修など、ソフト面の強化を図ること。  (三) 危機に対する一元的な体制の構築 危機に対して、様々な主体で連携し、流域全体で一元的に対処するための、危機管理センターの整備や総合防災情報システムの導入を検討すること。 3 被災者の生活再建支援 被災者の生活再建支援については、被災者ができるだけ早期に、被災前の持続可能な生活を可能な限り取り戻せるものとなることが求められている。また、被災者に必要な支援も多様であることから、被災者一人一人に寄り添う支援方法が求められている。くわえて、被災者支援に格差があってはならない。 しかしながら、大規模災害においては、被災者の生活再建支援を行う市町村も被災しており、業務は多忙を極めるため、被災市町村の業務負担の軽減を行うことが重要である。また、被災者に寄り添うためには、被災者一人一人への災害ケースマネジメントが必要である。このことから、県は次の取組を行う必要がある。  (一) 被災者生活再建支援業務の標準化及びシステムの導入 災害発生時に備え、市町村が行う被災者生活再建支援業務の標準化を行うこと。また、その業務軽減のために被災者生活再建支援システムの導入を検討すること。  (二) 災害ケースマネジメントへの支援 市町村が各種専門家と連携した災害ケースマネジメントを実施するために、市町村に対し各種専門家や専門知識を有した職員の派遣などの支援を実施すること。  (三) 災害救助法等の見直し 被害世帯数のほか、被害額についても災害救助法の適用基準に加えるなど、これら現行法の見直しや、災害救助法等が適用とならない場合の新たな支援対策等の法整備について、国に対して要望を行うこと。 以上、これらの提言が今後の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。  令和三年十一月十九日            宮城県議会自然災害対策調査特別委員長 坂下 賢 宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(菊地恵一君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。-----------------------------------再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会調査結果報告 ○議長(菊地恵一君) 日程第六十、再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員長、三十二番渡辺勝幸君。    〔三十二番 渡辺勝幸君登壇〕 ◆三十二番(渡辺勝幸君) 再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会の調査結果について、御報告申し上げます。 本委員会は、再生可能エネルギー・脱炭素に関する諸施策について調査・検討するため、令和二年十二月十六日に設置されました。 付議事件、再生可能エネルギー・脱炭素に関する諸施策についてを受け、再生可能エネルギーの導入促進や脱炭素化に向けた課題及び諸施策についてを調査項目として、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに参考人からの意見聴取を行ったほか、県内・県外調査を実施して検討を重ねて参りました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して、御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………    再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会報告書 再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、再生可能エネルギー・脱炭素に関する諸施策について調査・検討するため、令和二年十二月十六日に設置され、付議事件「再生可能エネルギー・脱炭素に関する諸施策について」を受け、「再生可能エネルギーの導入促進や脱炭素化に向けた課題及び諸施策について」を調査項目とした。 調査項目について、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、参考人として招致した経済産業省東北経済産業局資源エネルギー環境部電源開発調整官松田吉紀氏、東北電力ネットワーク株式会社宮城支社長高橋英人氏ほか三人及び京都大学大学院経済学研究科特任教授荒川忠一氏から意見を聴取し、さらに、トヨタ自動車東日本株式会社及び富谷市の取組について調査を実施したほか、他県の事例を参考にするため、長野県、柏の葉アーバンデザインセンター及び大和ハウス工業株式会社の取組などについて調査を行った。 その概要は、次のとおりである。一 現状と課題 温室効果ガスの排出量について、本県では、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、地域における温暖化対策を推進するため、平成三十年度に「宮城県地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」を見直し、新たな温室効果ガスの削減目標や基本的な方向性を定めた。この計画では、二〇三〇年度の県内の温室効果ガス排出量の目標を掲げ、地球温暖化の進行を抑制する対策と気候変動の影響による被害を回避・軽減する対策に取り組むこととしている。また、「宮城県環境基本計画(第四期)」の中で、二〇五〇年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにする目標を掲げている。本県の温室効果ガス排出量は、平成二十三年度まで減少傾向にあったが、東日本大震災以降は復旧・復興事業の影響などにより増加に転じ、平成二十六年度をピークとして再び減少傾向となっており、エネルギー消費量も同様の傾向が見られる。温室効果ガスは、あらゆる経済社会活動に起因して排出されていることから、県民生活・地域社会・産業など様々な分野で排出量の削減に向けた取組を進めていく必要がある。 再生可能エネルギーの導入について、本県では、「宮城県再生可能エネルギー等・省エネルギー促進条例」に基づき策定された「再生可能エネルギー・省エネルギー計画」を平成三十年度に見直した。この計画では、施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、再生可能エネルギーの導入量や省エネルギーによるエネルギー削減量の目標や基本的な方向性を掲げている。資源エネルギー庁が公表しているFIT設備認定導入状況で東北六県を比較すると、本県は、太陽光発電についても、再生可能エネルギー全体の合計についても福島県に次いで二番目という状況であるものの、太陽光発電を除く再生可能エネルギーは、他県と比べ導入が進んでいない。 平成二十四年の再生可能エネルギー固定価格買取制度(以下「FIT制度」という。)の創設以来、太陽光発電を中心に再生可能エネルギー施設の導入が進んでいるが、導入件数の増加に伴い、住民への説明不足、周辺環境や地域住民の生活に影響を及ぼす開発、災害時のリスクなどが懸念されている。再生可能エネルギー事業が地域や社会から受け入れられるためには、事業開始から終了まで一貫して適正かつ適切に事業が実施されることが担保されるとともに、地域からの信頼を得ていくことが重要である。二 参考人からの意見聴取 1 経済産業省東北経済産業局資源エネルギー環境部電源開発調整官 松田吉紀氏 松田氏は、「二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(以下「グリーン成長戦略」という。)とエネルギー基本計画の検討状況について、以下のように述べた。 国は令和二年十月に、二〇五〇年におけるカーボンニュートラルを目指すことを宣言した。これまで、温暖化への対応を経済成長の制約やコストと考えられていた面があったが、エネルギー・産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノベーションの創出といった取組により、成長の機会と捉えて推進していくべきである。そのためには、民間企業がこれまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えていく必要があるが、国では、これを新しい時代を世界でリードしていく新たなチャンスとして位置づけ、グリーン成長戦略を策定し、民間企業の前向きな挑戦を支援していくこととしている。 グリーン成長戦略では、国として高い目標を掲げ、可能な限り具体的な見通しを示している。産業・運輸・業務・家庭部門は電化を進め、蓄電池によりエネルギーを有効活用し、電化ができない部分は水素などの脱炭素化された燃料を利用することとしている。また、他部門の電化が進み、電力需要の増加が見込まれる電力部門については、再生可能エネルギーの最大限の導入を図り、原子力発電は依存度を低減しつつ、安全性が確認された原子力発電所は活用することとしている。成長が期待される十四の重要分野については、各分野において二〇五〇年までの取組の実行計画を示した。 平成三十年七月に策定した第五次エネルギー基本計画は、令和二年十月から総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会で、見直しの検討に着手し、様々な分野のテーマに沿った議論と関係業界・団体からのヒアリングを進めている。二〇五〇年のカーボンニュートラル実現を前提に、二〇三〇年の目標に対する進捗の確認と、取組の検証を行い、グリーンイノベーション戦略推進会議の検討結果と、電源構成のシナリオ分析結果を含めて取りまとめ、次期エネルギー基本計画を策定する。 FIT制度は、令和四年度から市場価格に連動したFIP(Feed‐in Premium)制度に変わることになっており、需給バランスに沿った行動を発電事業者にもとっていただくことを促進する制度となる。 2 東北電力ネットワーク株式会社宮城支社長 高橋英人氏 ほか三人 高橋氏らは、再生可能エネルギーの導入状況と課題及び導入拡大への取組について、以下のように述べた。 再生可能エネルギーはFIT制度創設以降、全国で導入が拡大しており、全国最大需要の約四十三%となる約七千万キロワットまで到達している。東北六県に新潟県を加えた東北電力ネットワーク株式会社の管轄エリア(以下「東北・新潟エリア」という。)の再生可能エネルギーの系統連系量は、全国の太陽光発電の約一割、全国の風力発電の約四割を占める。 令和二年十二月末現在、東北・新潟エリアの太陽光発電の系統連系量は六百四十四万キロワット、連系予定は五百二十六万キロワットであり、合わせて千百七十万キロワットが計画されている。このうち、宮城県の太陽光発電の系統連系量は百八十七万キロワット、連系予定は百二十六万キロワットであり、合わせて三百十三万キロワットが計画されている。東北・新潟エリアの風力発電の系統連系量は百六十万キロワット、連系予定は六百五十一万キロワットであり、合わせて八百十一万キロワットが計画されている。このうち、宮城県の風力発電の系統連系量は六十五万キロワット、連系予定は百八十八万キロワットであり、合わせて二百五十三万キロワットが計画されている。東北・新潟エリアの最大使用電力は千四百万キロワット程度であるが、それ以上の再生可能エネルギーを系統連系する計画である。 再生可能エネルギーの系統連系量の拡大によって、需給バランス及び送電線容量が課題になる。再生可能エネルギー発電量が小刻みに変動し、需給バランスの調整が難しいことから、火力発電所が供給量を調整する役割を担うが、供給量が需要量を超えた場合、再生可能エネルギー発電を抑制しなければならなくなる可能性がある。送電線容量については、系統連系するために影響を受ける送電線が広範囲にわたる場合、工事費が高額になるとともに、工事が長期化し、発電事業者の負担が増える。これらの問題に対応するため、東北・新潟エリアから東京電力パワーグリッド株式会社が管轄する東京エリアへの連系線の増強や、蓄電池への給電などで需要量を一時的に増やしたり、既設の送電線の空き容量を有効活用したりするなどの対応策を実施している。 3 京都大学大学院経済学研究科特任教授 荒川忠一氏 荒川氏は、日本における風力発電を中心とした再生可能エネルギーの導入促進について、以下のように述べた。 現在、世界の風力発電の設備容量は約七百四十三ギガワットであり、原子力発電の設備容量の約二倍であるが、発電量では原子力発電を下回っている。近々、発電量においても原子力発電を上回る見込みである。また、洋上風力発電は約三十五ギガワットで全体の約五%まで成長してきている。 日本の風力発電の設備容量は約四ギガワットであり、以前は世界でも十位以内に入っていたが、現在は二十位程度まで落ちている。日本で風力発電の導入が伸びなかった理由としては、環境影響評価の導入でリードタイムが長かったこと、電力系統連系に問題があったことが挙げられる。 経済性について、風力発電は価格が高いと思われているが、世界の一キロワットアワーあたりの陸上風力発電の平均価格は約五円であり、太陽光発電の平均価格より低い。洋上風力発電の平均価格は約十一円であるが、洋上風力発電は技術が進歩しているところであり、新しいものでは約六円と陸上風力発電の価格に迫っている。風車の発電出力は風速の三乗に比例するため、一・二倍の風が吹いていれば、発電出力が約六割増加することから、洋上の建設コストが約五割高くても経済性において陸上よりも有利であり、洋上風車は経済性を求めて大型になる。 ヨーロッパ全体の電源構成では、風力発電が十六%を占めており、一番比率が高いデンマークは四十八%、日本と同じ島国で環境が似ているイギリスは二十七%である一方、日本は〇・七%である。日本には十分な風力発電のポテンシャルがあり、全ての電力を風力発電で賄うということも不可能ではないが、平成三十年七月に策定された第五次エネルギー基本計画では二〇三〇年の目標は一・七%となっている。現在、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、二〇三〇年及び二〇五〇年の目標が改めて議論されているが、ヨーロッパの状況も踏まえて、より高い目標を設定してもらいたい。二〇五〇年の風力発電を含めた再生可能エネルギーの電源構成比率の目標が決まれば、仮に百%であったとしても対応する方法はあると考えている。再生可能エネルギー及び風力発電の目標をより高く設定し、地域住民にも参画を促しながら推進していくべきである。三 県内調査 1 トヨタ自動車東日本株式会社(黒川郡大衡村) Fグリッド事業は、トヨタ自動車東日本株式会社の工場を中心とした電力・熱エネルギーの供給事業であるとともに、エネルギーマネジメントシステムを用いたエネルギーコストの減少と安定供給を目指すスマートコミュニティ事業である。具体的には、Fグリッドとして所有しているガスエンジンコージェネレーション、太陽光発電設備及びハイブリッド車「プリウス」の電池を利活用した蓄電池システムを系統電力と組み合わせ、工業団地の利用者に安定的な電力と熱を供給している。また、工業団地と大衡村役場周辺の避難防災地域における非常時のエネルギー供給機能も有している。 ガスエンジンコージェネレーションは、発電出力が七千八百キロワットで、燃料となるガスでエンジンを回し、その動力で発電する。また、発電時に発生する排気ガスの熱については、回収して蒸気に変換し、工場内の塗装工程の加温や加湿で使用している。さらに、冷却水からも熱を回収し、ビニールハウスの暖房に使用している。このようにエネルギーを使用することにより、エネルギー利用効率は八十%以上となっている。 これらの設備を効率的に運用するために、エネルギーマネジメントシステムを導入している。工業団地の利用者から提供される生産計画情報や、実績をベースに予測を立て、システムで最適値を算定し、効率的にエネルギーを作り出すことにより、安価で二酸化炭素の排出が少ないエネルギーの利用が可能となる。また、エネルギーの使用実績を可視化するとともに、電気の使用量が下がる夜間に需要を誘導するため、夜間に供給する電気の単価を安く設定するダイナミックプライシング制度を導入するなど、更に効率化を目指している。こうした取組によって、Fグリッド導入前と比較して、二十五%の省エネルギーとなり、二酸化炭素排出量で換算すると三十六%の減少を達成している。 災害発生等による非常時に、系統電力が停電した場合の対応については、三つのステップで考えている。第一ステップは、太陽光発電と蓄電池により電力供給を行う。第二ステップは、ガスの供給やガスエンジンコージェネレーションに関連する設備に問題がないことを確認後、ガスエンジンコージェネレーションを動かしてグリッド内に電力を供給する。トヨタ自動車東日本株式会社が使用している都市ガスの中圧配管は強固で、東日本大震災においても割れや漏れがなかったことから、非常時においても緊急遮断弁の開栓後は問題なく使用できると考えている。第三ステップとして、更に停電が長引き、地域の防災拠点にも電力が必要となる場合は、ガスエンジンコージェネレーションで作った電力を、系統電線を使って村役場や学校といった防災拠点へ供給する。Fグリッド導入後、非常時の対応訓練は毎年行っており、実効性のあるマニュアルが準備できているとの説明があった。 2 富谷市 富谷市では、令和三年二月十日、二〇五〇年の二酸化炭素排出実質ゼロに向けて、全国約三十番目となるゼロカーボンシティ宣言を行った。令和三年度は、環境省の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金を活用し、現状の把握と再生可能エネルギー導入目標設定戦略の策定のために、ゼロカーボンシティ実現に向けたロードマップの策定に取り組むこととしている。 現在、富谷市において、FIT制度を通して活用されている設備は、太陽光発電設備のみであり、特に小規模な太陽光発電を中心に導入が進んでいる。資源エネルギー庁が公表している令和三年三月末現在の事業計画認定状況では、富谷市内で認定された事業は七十五件あり、内訳は太陽光発電事業が七十四件、バイオマス発電事業が一件となっている。そのうち、稼働中の事業は四十件で、全て太陽光発電事業である。市の東部と、北部の田園地帯で、農地を転用して事業を行う計画が多いが、建物の屋根・屋上を利用する事業や、山林を開発して実施する事業もある。  (一) 富谷市自然環境等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例について FIT制度が始まった平成二十四年以降、富谷市では太陽光発電設備の設置が増えたが、発電事業者の事業内容を把握することが困難で、十分に指導できず、自然災害や野生動物への影響があったり、周辺住民の迷惑になっていたり、発電事業者による木質バイオマス小規模発電所の設置に向けた動きに対して、富谷市が規制や指導を行う根拠がない、などの問題が顕在化した。このことから、富谷市の景観、自然環境及び生活環境と再生可能エネルギー発電設備との調和を図り、潤いのある地域社会の発展に寄与することを目的に、「富谷市自然環境等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例」(以下「再エネ事業調和条例」という。)を制定した。再エネ事業調和条例では、富谷市、事業者及び市民の責務並びに事業着手までの手続を規定するとともに、自然環境や市民生活に影響を与える区域を事業抑制区域として定めることができることとした。その結果、環境破壊につながる山林開発の抑止、住民説明会の義務化による事業者と住民の良好な関係の構築、富谷市役所における部署間の情報共有や横断的な対応につながっている。 一方で、新たな課題も顕在化している。一点目は、発電出力が五十キロワット未満の太陽光発電への対応である。富谷市においては、FIT認定を受けた未設置の太陽光発電設備が三十四件あり、そのほとんどが発電出力五十キロワット未満のものであるが、再エネ事業調和条例では、事業抑制区域であっても五十キロワット未満の太陽光発電は適用対象外としている。適用対象外の設備の中には、再エネ事業調和条例制定後、新規に事業計画認定を受けた太陽光発電も八件含まれており、再エネ事業調和条例の適用を意図的に避けたケースもあると考えられることから、五十キロワット未満の施設であっても、事業概要、維持管理体制などが把握できる仕組みが必要である。二点目は、県外を拠点とする事業者の対応である。富谷市内を設置場所としてFIT認定を受けた事業七十五件のうち、三十五件が県外を拠点とする事業者となっており、事業主体が判然とせず責任ある対応が取られないことや、トラブル対応の遅れなどが懸念され、今後対策が必要である。 富谷市は再生可能エネルギー利用のポテンシャルはさほど大きくないが、ゼロカーボンシティの実現のためには、住宅用の太陽光発電設備と自家発電設備を併設した住宅の多さなど、富谷市独自の長所を生かして、再生可能エネルギー導入拡大の可能性を追求するとともに、水素エネルギーの活用も大きなポイントであるとの説明があった。  (二) 水素エネルギー施策について 富谷市総合計画・後期基本計画では、地球環境への貢献につなぐエネルギー地産地消のまちづくりという施策目標を設定し、脱炭素社会形成に向けて取り組んでいる。 具体的な取組として、「富谷市における既存物流網と純水素燃料電池を活用した低炭素水素サプライチェーン実証事業」(以下「実証事業」という。)を行っている。この実証事業は、株式会社日立製作所、丸紅株式会社、みやぎ生活協同組合との共同事業であり、環境省の「地域連携・低炭素水素技術実証事業」として採択されている。実証事業の内容は、太陽光発電の電力で水を電気分解して水素を製造し、その水素を水素吸蔵合金カセットに吸着させ、純水素燃料電池を設置している一般家庭、みやぎ生活協同組合の店舗、児童クラブに配送し、発電や給湯に活用するものである。一般家庭への物資の配送のシステムが確立されているみやぎ生活協同組合のトラックで、一般の物資とともに配送している。運用に当たっては、系統電力を一部使用していたが、停電時にはこの実証事業が運用できない事態となるため、BCP(事業継続計画)対策として、令和三年度から新たに水素混焼発電機を実証設備に追加した。水素混焼発電機は、使用済みのてんぷら油を原料とする植物性のバイオ燃料と水素を混焼し発電する。水素混焼発電機が設備に追加されたことにより、停電が発生した場合でも、実証事業を運用することが可能となった。 富谷市低炭素水素プロジェクトとして、水素社会の実現のために、大きく二つの事業に取り組んでいる。一つ目は純水素燃料電池の導入であり、実証事業の追加設備として導入している。二つ目は市民啓発事業として、小学校・中学校向けの水素エネルギーの地域教育の実施や、富谷高校と連携し、水素エネルギー活用に向けた地域課題の解決をテーマとして研究している。また、市民向けにシンポジウムや地域学会等を開催し、水素社会実現に向けた社会啓発事業等に取り組んでいることに加え、宮城県、宮城交通株式会社、富谷市の三者で宮城県内初の取組である燃料電池バスの路線運行が令和三年三月から始まり、市民の方に水素エネルギーを体験していただく非常に良い機会となっている。 今後は、実証事業から得た知見とノウハウを生かし、今後の一般家庭での水素エネルギー利用の実用化を進めるとともに、更なる利活用の可能性を探り、水素エネルギーの導入促進により低炭素社会実現を目指したいとの話があった。四 県外調査 1 長野県  (一) 長野県脱炭素社会づくり条例について 長野県脱炭素社会づくり条例は、県民一丸となって持続可能な脱炭素社会づくりを推進することを目的として制定され、二〇五〇年度までに、二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを条文の中に規定した全国初の条例である。 長野県脱炭素社会づくり条例では、県、事業者及び県民の責務をそれぞれ規定し、脱炭素社会づくりのための主な施策として「エネルギー自立地域の確立」、「プラスチックの資源循環の推進」、「持続可能な脱炭素社会づくりに資する産業イノベーションの創出支援」、「エシカル消費等の推進」の四つを柱とし、これを推進するための行動計画の策定を知事に求めている。その行動計画として長野県ゼロカーボン戦略を令和三年六月に策定した。 長野県ゼロカーボン戦略は、基本目標として、「社会変革、経済発展とともに実現する持続可能な脱炭素社会づくり」を掲げ、二酸化炭素を含む温室効果ガス正味排出量を二〇一〇年比で二〇三〇年度までに六割減、二〇五〇年度までにゼロを目指すという目標を立てている。その目標を達成するためには、再生可能エネルギーの生産量を、二〇一〇年比で二〇三〇年までに二倍増加、二〇五〇年までに三倍増加するとともに、最終エネルギー消費量を二〇一〇年比で二〇三〇年度までに四割削減、二〇五〇年度までに七割削減する必要がある。再生可能エネルギーに関しては、住宅太陽光発電と小水力発電を徹底的に普及し、エネルギー自立地域を長野県内に十箇所以上作っていきたいとのことであった。 また、二〇五〇年度までにゼロカーボンを達成した場合であっても、上昇する気温に適応していくことが非常に重要と考えており、令和元年に信州気候変動適応センターを立ち上げた。県内における気温変化を定期的に把握してきたモニタリングネットワークという組織と、そのデータを基に、産業における技術開発をしていこうとするプラットフォームを統合する形で設立している。長野県はリンゴや高原野菜等の主要な産地であるが、気候変動の影響と思われることも現れてきており、県の農業試験場が中心となって、高温にも耐えうる品種の開発、実験にも取り組んでいるなどの話があった。  (二) 長野県における再生可能エネルギー施策について 長野県では、住宅の太陽光発電と小水力発電に特に力を入れ、取組を推進している。 令和元年度時点で世帯当たりの太陽光発電の普及率は佐賀県に次いで全国二位となっており、令和三年度には県民向けの太陽光パネルと蓄電池の設置補助制度と、太陽光パネルのみ設置している県民向けの蓄電池の設置補助制度を創設した。また、太陽光パネルや蓄電池を安価に設置するために、共同購入事業を立ち上げている。 FIT制度のもとでの小水力発電の導入件数は、長野県が全国一位であり、ポテンシャルも非常に高い。長野県内で中小事業者が取り組む小水力発電事業は、発電出力二百キロワット程度のものが非常に多いが、太陽光発電と異なり、二十四時間発電が可能であることから、二ヘクタールを超えるメガソーラーに匹敵する発電量となる。小水力発電事業では地元企業の参画により、権利調整等がスムーズに運ぶ事例もあることから、地元企業による開発を促すと同時に、資本力が弱くても参画できるように、FIT制度を活用した自然エネルギー発電事業に対し、初期投資を補助する収益納付型補助金の枠を拡充し、小水力発電の拡大に取り組んでいる。また、小水力発電の新規事業者が、スムーズに発電に至ることができるようにサポートする小水力発電キャラバン隊を結成している。しかし、魚の生育環境への影響を懸念する漁業関係者の感情的な部分は小水力発電キャラバン隊でも対応が難しく、今後の課題と認識しており、国の再生可能エネルギーの推進に向けた動きとあわせて、様々な知恵を出しながら進めていく必要がある。 また、地域主導型自然エネルギー創出支援事業として、地域の特性を生かしてコミュニティレベルでエネルギー自給率を向上させることにより、地域社会経済の活性化を図ることを目的とした取組を進めている。支援対象は熱供給事業や熱利用事業に係るものとしており、補助率はソフトの場合は二分の一、ハードの場合は三分の一であるが、特に防災拠点に位置づけられた施設に対しては、補助率、上限額をかさ上げしているとの説明があった。 2 柏の葉アーバンデザインセンター(千葉県柏市) 千葉県柏市柏の葉地域では、これまで住戸やオフィスでのエネルギー使用状況の見える化や、街区を越えた電力融通などのエネルギー管理を推進してきた。令和元年には、国土交通省のスマートシティモデル事業に選ばれ、「モビリティ」、「エネルギー」、「パブリックスペース」、「ウェルネス」の四つの分野と、「民間+公共のデータプラットフォームの構築」、「公・民・学連携のプラットフォームを活用したオープンイノベーションの活性化」、「分野横断型のサービスの創出」の三つの戦略を掲げてまちづくりを推進している。 エネルギー分野では、太陽光発電設備の発電率向上のために、太陽光パネル一枚ごとにセンサーを取り付け、発電効率を測ることにより、維持管理コストの削減や発電効率の向上を図る取組を行っている。また、エリアエネルギーマネジメントシステムの設備更新を控えているが、単なる機器更新ではなく、現在検討しているまち全体でのカーボンニュートラルに向けた仕組みや取組の方向性を踏まえ、最適なシステムを構築し、需要予測の精度向上や、二酸化炭素の更なる削減と省エネルギーを図りたいとの話があった。 3 大和ハウス工業株式会社(千葉県船橋市) 大和ハウス工業株式会社では、平成二十二年頃から、使うエネルギーより作るエネルギーが多いまちづくりを進めてきている。同社の大規模複合開発プロジェクトである船橋グランオアシスは、まちづくりに伴う建設現場と住居において、再生可能エネルギーにより発電した電気のみを使用している。建設現場の電力に再生可能エネルギーのみを使用するのは日本で初めての取組であった。船橋グランオアシスの電気は、自宅等で太陽光発電により作った電気の他に、大和ハウスグループの太陽光発電所、水力発電所、風力発電所で発電したものが使われている。 分譲マンション街区では、再生可能エネルギーの余剰分を蓄電池にためておき、電力使用量のピーク時には共用部で、停電時には各世帯で使用している。また、各世帯は使用電力量をリアルタイムに確認することができ、使用電力量が増えるほど電気料金の単価が三段階で上がるダイナミックプライシングとなっていることにより、無理のない電力の節減行動と、電気代の削減につながる。 戸建て街区では、五区画又は六区画を一つのサークルとし、それぞれの家屋での太陽光発電の電力と蓄電池の電力をサークル内で有効に使えるように一括管理しており、天気予報や過去の使用実績などの情報をAI(人工知能)で解析し、蓄電池や給湯器の利用効率を最適に制御している。サークル内で電力が不足した場合には、外部から再生可能エネルギー由来の電力が供給される。 船橋グランオアシスでは、建物自体を省エネルギー化したことと、住まいの電力を再生可能エネルギーとしたことにより二酸化炭素の排出量を削減することができた。一方で、ガスを使用する熱については、二酸化炭素の排出量の削減ができなかったが、別の開発場所では熱も含めたカーボンニュートラルに向けて取組を検討しているとの話があった。五 総括・提言 これらの検討結果を踏まえ、本委員会は、再生可能エネルギー・脱炭素に関する諸施策について、次のとおり取りまとめた。 1 自然、景観、住民に配慮した事業の推進 再生可能エネルギーの導入拡大を推進していくに当たっては、地域の自然環境、景観及び住民に配慮し、地域と共生した事業となるように事業者に対して指導・助言していくことが重要である。本県は、地域と共生した事業を進めるため「宮城県太陽光発電施設の設置等に関するガイドライン」を策定し、令和二年四月から運用している。ガイドラインでは、出力が五十キロワット以上である太陽光発電施設を設置しようとする事業者を対象に関係法令の遵守、事業計画の提出等による県及び市町村への事前の情報提供、住民への事前説明等により、住民との合意形成を図ることなどを求めており、引き続き取り組むべきである。一方で、出力や事業内容がガイドラインの対象外となる事業であっても、地域住民が環境や安全性等の面から不安を抱き、事業者との関係が悪化する事例が生じているほか、温室効果ガス削減目標を達成するためには、太陽光発電以外の再生可能エネルギーの導入拡大も必要となることから、事業者が適切な情報提供によって地域と良好な関係を築き、その事業が地域と共生していくことができるものとなるよう、ガイドラインの見直しや周知、事業者への呼びかけを行っていく必要がある。 2 脱炭素化に向けた取組の推進  (一) 再生可能エネルギーの導入推進 地球温暖化防止の面から、脱炭素化に向けた取組として、再生可能エネルギーの導入拡大や、省エネルギーによるエネルギー消費量の削減等が求められている。本県は、スマートエネルギー住宅の普及促進、再生可能エネルギー等設備の導入支援、省エネルギーによる経営コスト削減の支援、燃料電池自動車の導入推進等の取組を実施しており、今後もその取組を継続していくとともに、補助制度の周知や拡充を図る必要がある。また、将来的な事業自立化に向けたFIT制度の見直しが進むことにより、FIT認定事業者の事業撤退の可能性があることから、インセンティブがある制度が縮小・廃止した際のFIT認定事業者に対する支援について検討する必要がある。  (二) エネルギー効率化の推進 エネルギー利用の効率化を推進するために、太陽光発電設備の導入が多い本県の特徴を生かして、蓄電池やエネルギーマネジメントシステムの導入支援の拡充について検討する必要がある。また、スマートシティ形成支援などを通じて、環境に配慮したまちづくりやエネルギーの地産地消を目指す地域の拡大に取り組む必要がある。  (三) 水素エネルギーの利活用の推進 水素は二酸化炭素排出量の削減に向けて重要なエネルギーとなることから、環境省のモデル事業として進めている富谷市の実証事業を始めとする水素社会の形成に向けた有効な取組や、利活用等について県内市町村と情報共有し、水素エネルギーの利活用を引き続き推進していく必要がある。  (四) 再生可能エネルギー等に関する県民の理解度の向上 再生可能エネルギー等に関する正しい理解が進むことにより、近隣地域の事業者との良好な関係の構築や、家庭及び企業における取組の促進につながることから、生活に身近な分野での再生可能エネルギー等の利活用や、イベント開催など、県民の理解度向上に向けた取組を引き続き推進するとともに、それらの取組が多くの県民に認知されるための広報活動を検討する必要がある。 3 再生可能エネルギー関連産業の振興、研究開発の推進 再生可能エネルギーの導入拡大のためには、再生可能エネルギー関連技術などを含めた研究開発の支援や関連産業の振興への取組等が重要となる。再生可能エネルギー関連産業育成のため、国の再生可能エネルギー及び脱炭素の推進に係る動向や、温室効果ガスの削減及び電源構成比率等の目標に合わせて、県内の再生可能エネルギー関連産業に対する支援の拡充について検討する必要がある。研究開発については、支援制度の周知や充実を図るほか、地元大学や宮城県産業技術総合センターなどの研究機関と一層の連携を図る必要がある。 今後展開していく様々な関連施策を効果的に推進するため、各種支援制度の情報や技術情報等を基に、事業化のコーディネートや指導・相談機能を強化して、企業等の取組を積極的に支援していく必要がある。 以上、これらの提言が今後の県の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。  令和三十一月十九日     宮城県議会再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員長 渡辺勝幸 宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(菊地恵一君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。----------------------------------- △地域再生・活性化対策調査特別委員会調査結果報告 ○議長(菊地恵一君) 日程第六十一、地域再生・活性化対策調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。地域再生・活性化対策調査特別委員長、二十五番佐々木功悦君。    〔二十五番 佐々木功悦君登壇〕 ◆二十五番(佐々木功悦君) 地域再生・活性化対策調査特別委員会の調査結果について、御報告申し上げます。 本委員会は、新型コロナウイルス感染症の影響における地域再生・活性化対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和二年十二月十六日に設置されました。 付議事件、新型コロナウイルス感染症の影響における地域再生・活性化対策に関する諸施策についてを受け、一、コロナ禍における感染防止対策を踏まえた地域産業等の回復策・活性化策、二、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた地域再生対策、以上を調査項目として、県関係部局から県施策の概要を聴取するとともに参考人からの意見聴取を行ったほか、県内・県外調査を実施して検討を重ねて参りました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して、御報告申し上げます。----------------------------------- △地域再生・活性化対策調査特別委員会報告書  地域再生・活性化対策調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、新型コロナウイルス感染症の影響における地域再生・活性化対策に関する諸施策を検討するため、令和二年十二月十六日に設置され、付議事件「新型コロナウイルス感染症の影響における地域再生・活性化対策に関する諸施策について」を受け、調査項目を以下の二項目とした。一 コロナ禍における感染防止対策を踏まえた地域産業等の回復策・活性化策二 ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた地域再生対策 以上の項目について、県関係部局から県施策の概要を聴取するとともに、参考人意見聴取を実施した。参考人として招致したのは、宮城ワーケーション協議会共同代表の櫻井亮太郎氏、株式会社Public dots & Company取締役兼デジタル戦略室長の菅原直敏氏の二人である。また、県内の実情を把握するため、アイリスオーヤマ株式会社及び宮城県中小企業団体中央会の取組について調査を実施したほか、他県における先進事例を参考にするため、公立大学法人会津大学及びアクセンチュア・イノベーションセンター福島の取組などについて調査を行った。 その概要は、次のとおりである。一 現状と課題 1 地方創生について 本県の人口は、平成十五年の推計人口約二百三十七万二千人をピークに減少傾向が続いており、令和二年の最新の国勢調査における速報結果では約二百三十万三千人であった。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、令和四十二年の本県の人口は約百四十三万五千人、老年人口割合は四十四・二%になると予測されており、労働力不足や地域の担い手の減少をはじめ、幅広い分野における活力の低下が懸念されている。 そこで、令和三年度からの「新・宮城の将来ビジョン」では、子ども・子育て分野の重点化や地域の魅力向上対策を行うことで、人口減少の幅を少しでも緩やかにし、令和四十二年の県の人口を百七十二万千人にする目標を設定している。 また、本県から主に首都圏に人口が流出している状況にあることから、移住・定住の推進や若者の県内定着の促進など人口流入増・人口流出抑止策を図ることで、社会減の解消に努めることも求められている。 2 移住・定住の推進について 人口減少や高齢化等が進行していく中で、地域コミュニティを維持し、その活性化を図るためには、担い手となる人材を育成するとともに、外部からも人材を確保していく必要がある。したがって、市町村や民間企業等とも連携し、首都圏等からの移住を更に推進する必要がある。 また、相談窓口における移住希望者は、二十代から四十代の働き盛りが中心となってきており、移住に際して就業が重視される傾向にあることから、移住希望者に対し、県内企業の魅力を伝えることや、就業に向けた丁寧なマッチング支援を行うことが特に重要となっているほか、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う企業や国民の意識・行動の変容に対応した移住・定住施策を推進する必要がある。 そこで、既に運用を開始しているオンライン相談の定着を図るとともに、インスタグラムによる情報発信の強化やオンラインイベントの内容充実等を図る必要がある。また、移住支援金については、今後、必要な手続を市町村と協力して進めるとともに、要件緩和により新たに加わったテレワーカー等潜在的な対象者への広報の充実に努める必要がある。 3 観光戦略について 本県では、平成三十年度から令和二年度までを計画期間とする第四期みやぎ観光戦略プランに基づき、令和二年までに観光客入込数を七千万人、宿泊観光客数を一千万人泊にするなどの目標値を設定し、関係者と連携しながら具体的な取組を進めた。その結果、令和元年の観光客入込数は六千七百九十六万人、宿泊観光客数は九百八十九万人泊と、それぞれ震災前を上回り、過去最高を記録した。また、外国人観光客宿泊者数は五十三万人泊を超えて、計画の目標値である五十万人泊を一年前倒しで達成するなど、順調に推移してきた。 しかし、その後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、インバウンドが壊滅的な状況となるなど観光需要は大幅に落ち込んでおり、県内の観光事業者に甚大な影響が生じている。 そこで、本県では、令和二年六月にみやぎ観光振興会議を立ち上げ、地域事業者と観光需要の回復に向けた議論を重ね、同年十一月にみやぎ観光回復戦略を策定した。当該戦略では、デジタル化への対応を強化しつつ、ビジネスモデルの転換を図っていくことで、持続可能で選ばれる観光地を目指すこととしている。 また、全国的にも注目されているワーケーションについては、本県でも令和二年九月に民間主導で宮城ワーケーション協議会が設立されるなど、機運が高まってきており、県内の自治体や団体でも地域資源を生かした独自の取組を展開する動きが出てきている。したがって、地域の特性を生かしたワーケーションのプログラムが県内各地で提供され、地域と企業とのマッチングが図られるよう、宮城ワーケーション協議会と連携しながら、県としても支援していく必要がある。 4 企業誘致について 本県では、これまで自動車分野、高度電子分野、食品関連分野の企業を誘致ターゲットとして重点的に企業誘致に取り組んできており、これらの企業の県内への新規進出が継続している。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、サプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、製造業の国内回帰や生産拠点の国内確保が進んでいる。この機会を逃さず、トップセールスをはじめとする積極的かつ効果的な誘致活動を行う必要がある。 また、新たに生じた巣ごもり需要等も視野に入れ、今後投資の活発化が期待される食品や物流等の産業分野等の誘致活動を強化していく必要がある。 さらに、IT関連企業を中心にテレワークの普及やリスク分散を目的とした地方への移転の動きが見られるなど社会全体の働き方が変化していることから、県内への会社拠点の移転を見据えた企業向けの支援を行うことも必要である。 5 中小・小規模事業者への支援について 県内中小企業等は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う需要の落ち込み等により、売上げの減少など大きな影響を受けている。国や地方自治体の資金繰り支援を含めた各種支援策などが功を奏し、令和二年の倒産件数は百十三件と、前年比八十一%にとどまったものの、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立っておらず、依然として予断を許さない状況が続いている。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、対面サービスの需要減少やサプライチェーンの寸断で取引が減少する中、接触回避や居住地選択の拡大、デジタル技術の活用など、新たな日常への移行が進んできている。今後、新たな日常への移行を念頭に置き、変化を新しいビジネスチャンスにできるよう、中小企業のデジタル化や業態転換などを推進し、事業の維持・発展を図る必要がある。 そのためにも、新たな経営環境に対応できるよう、生産性向上や販路開拓を支援するほか、中小企業等のデジタル化に対する意識の底上げを図るなど、デジタル化の取組を支援する必要がある。 6 農林水産業への支援について 少子高齢化の進行等による担い手、働き手不足が課題とされる中、新型コロナウイルス感染症が発生し、その影響により、農業分野においては新規就農者や担い手を確保できるかが懸念されている。水産業分野でも、外国人技能実習生等が入国できなくなったため、漁業や水産加工業の現場で人手不足が発生している状況にある。 そこで、ウェブやSNS等を活用した情報発信を更に強化し、これまで以上に、県内外からの優秀な人材の確保に取り組むことが必要である。 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、飲食店における需要が大きく減少しているほか、県外での物産展やイベント等が中止になるなど、県産品の販売に多大な影響が出ていることから、コロナ禍で市場が大きく広がった電子商取引(以下「EC」という。)を活用し、新たにECに取り組む事業者の掘り起こしや既に取り組んでいる事業者の販路拡大の支援を強化することが必要である。二 参考人からの意見聴取 1 宮城ワーケーション協議会共同代表 櫻井亮太郎氏 櫻井氏からは宮城ワーケーション協議会(以下「協議会」という。)の取組について説明を受けた。 協議会は、ワーケーションが本県の経済、そして本県の将来において有益であるという理由から、櫻井氏が共同代表の一人として立ち上げた組織である。協議会の使命(ミッション)は、宮城をワーケーション受入れのナンバーワンの土地にすることであり、将来像(ビジョン)は、ワーケーションを通して宮城県の熱烈なファンを増やし、観光、移住・定住へとつなげることである。 ワーケーションは、観光地や自然の中で余暇を楽しみながらテレワークをすること、あるいはテレワークをしながら余暇を楽しむことであり、その目的は三点ある。一点目は、ワーケーションに来た人が消費行動を行い、地域に経済効果が生まれることによる「地域の成長」である。二点目は、ワーケーションを許容すること自体が企業の魅力になることや、社員が効率良く高い生産性で仕事をすることによる「企業の成長」である。三点目は、集中して仕事ができることによる「個人の成長」である。 また、ワーケーションのスタイルは四点に分類することができる。一点目は、休暇中の一部の期間に仕事を行う「休暇活用型」、二点目は、仕事が空いたときに休暇を取得する「日常埋め込み型」、三点目は、出張先で仕事の後に自費で延泊し、帰りの交通費は職場が負担する「出張延長型(ブリジャー)」、四点目は、企業研修等を地域で行う「企業型」である。この中で、とりわけ三点目の「出張延長型(ブリジャー)」を本県で浸透させたいが、これを認めていない行政機関や企業が多いことが課題である。 さらに、ワーケーションの効果については五点に分類することができる。一点目は、ストレスが減り幸福度が上がる「ヘルス・インパクト」、二点目は、地域への経済効果が生まれる「ビジネス・インパクト」、三点目は、外部の人と地域の人との交流により様々なイノベーションが起きる「ソーシャル・インパクト」、四点目は、ワーケーションを行う企業が地域で環境に配慮した取組を行う「グリーン・インパクト」、五点目は、家族との時間が増える「ファミリー・インパクト」である。 自然や食べ物を売りにワーケーション誘客をしても、それらは日本全国どこにでもあり、特に、東京からの誘客を考えた場合、本県よりも近くにある軽井沢や那須高原に完全に負けてしまう。よって、本県ではまた違う形を考えなければならない。 協議会では、一つ一つの自治体に、このような人たちが集まっているという色づけをしたいと考えている。例えば、ある自治体に釣り好きが集まるという色づけをすることによって、その自治体に様々な職業の釣り好きが集まり、地域の人たちとの交流・協業が行われたり、ワーケーションに来た人同士の交流・協業が行われたりすることが期待できる。 また、ワーケーションをしたいという人にアンケートをとると、地域活性化への貢献をしたいという回答が全体の五十六%に上ることから、本県では、地域課題の解決に一緒に取り組んでくれる人を募るようなワーケーション、すなわち、課題解決型ワーケーションに取り組む必要がある。 さらに、地域への単発・短期間の滞在から長期間の滞在、ひいては移住・定住に結び付けるため、ワーケーションの六次化を進めていきたいと考えている。一次は「仕事と観光」、二次は「仕事と地域」、三次は「仕事と移住・創造」である。その上で重要になるのは、観光に偏ることなく、商工に偏ることなく、移住・定住に偏ることなく、県庁の各担当課が連携して一緒に取り組むことである。 本県がワーケーションを推進する上で一番の課題となるのが、教育である。両親がワーケーションに行きたくても、子どもが義務教育ゆえにワーケーションに行けないというハードルがある。ワーケーションに来た子どもを県内の学校が一時的に受け入れるなどの支援体制が構築されれば、本県に来る人が増えると考えると述べた。 2 株式会社Public dots & Company取締役兼デジタル戦略室長 菅原直敏氏 菅原氏からは、自身が最高デジタル責任者(CDO)に就任している福島県磐梯町のデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」という。)の取組について説明を受けた。 最近、デジタルやDXがはやり言葉になっているが、DXを進める上で大切なことが三点ある。一点目は、デジタル技術は「手段」であって、「目的」ではないということである。二点目は、デジタル技術の活用で重要なのは、「技術の理解」ではなく、「技術の使いやすさ」であるということである。三点目は、全ての人が同じ技術を使えることで、課題が解決され、大きな価値を生んでいくということである。 DXの思考法とは、テクノロジー起点でなく、県民起点で物事を考えていくことである。人口減少により自治体のヒト・モノ・カネというリソースがどんどん縮小していく一方で、県民ニーズは多様化・複雑化・広範化してきており、このミスマッチの中で課題解決ができなくなっているのが現状である。ヒト・モノ・カネが減っていき、これから増えることがない中、県民の幸せのために第四の手段としてデジタル技術が使えるのではないかというのがDXの発想である。 デジタル技術というと、ともすると、業務効率化、コストカット、人員削減という文脈で見る日本人が多いが、人に優しいデジタル技術で、誰一人取り残さないという視点が重要である。 DXとは、行政、社会、地域のあらゆる分野がデジタル技術によって再構築されることである。あらゆる分野がデジタル技術を前提に再構築されることから、ICTや情報システムを所管する部局の職員だけではなく、全ての部局の職員が最低限のデジタルリテラシーを持っていることが前提条件となる。 DXで実現することは、課題解決、価値創造、共生社会である。課題解決という言葉がよく使われるが、課題解決はマイナスをゼロにするという話だけで、それだけでは少なくとも衰退しかない。しかし、デジタルの良いところとして、そのゼロから一、一から十、十から百へと、価値をつくっていくところに極めて重要なポイントがある。さらに、社会の前提条件をデジタルによって再構築することで、誰もが自分らしく生きられる共生社会が実現すると述べた。三 県内調査 1 アイリスオーヤマ株式会社(角田市) アイリスオーヤマ株式会社(以下「アイリスオーヤマ」という。)からは、コロナ禍において売上げ・利益を伸ばした要因について説明を受けた。 アイリスオーヤマは、コロナ禍以降、マスクをはじめ家電用品、収納用品等の商品が、巣ごもり消費の影響もあり、大きく売上げを伸ばしており、令和三年も昨年比で三十%程度売上げを伸ばしている。 その要因の一つが、アイリスオーヤマの経営方針であるユーザーイン経営であり、その特徴は六点ある。 一点目は、ユーザーインの需要創造による商品開発である。生活者、すなわちユーザーの代弁者として、不満、不足、不備を解消していこうという商品開発のコンセプトである。 二点目は、製造と問屋機能を併せ持ったメーカーベンダーという仕組みである。一般的に、製造業が三十%、問屋が三十%、小売が三十%ずつの利幅をとるが、問屋機能を持つことによって、およそ三十%コストダウンが図れることとなる。そのメリットは、コストの削減のみならず、家電量販店、ホームセンター、コンビニエンスストア、ドラッグストア及びスーパーマーケット等日本全国の十万店舗と直接取引ができるため、売り場の情報がそのまま会社に入り、売場起点のマーケティングができることにある。 三点目は、ネット通販による店舗を通さないダイレクトマーケティングである。全国に八拠点の物流センターを設けているため、購入者の手元に翌日には届けられるような体制を取っており、ECモール以外にも自社サイトでの販売が順調である。 四点目は、業態メーカーとしての製品開発である。中国の大連の工場では、プラスチック製品だけではなく、金属や木を使ったハイブリッドの製品等様々な商品を生産している上、ロボットを使った生産をすることによって、コスト競争力も付けている。専業ではどうしても好不調があるが、多角化をすることでリスク分散ができることは一つのポイントである。 五点目は、BtoB事業である。東日本大震災の電力不足をきっかけにLED照明に力を入れることとなり、まずは小売から販売を始めたが、その後、一般企業向けの販売を始めた。これに加えて、カーテン、建材、オフィス家具等の品揃えも増やすことで、BtoB事業に非常に力を入れている。さらに、現在、ロボットAI事業も行っており、お掃除ロボットといったロボットを活用することによって、人手不足を解消し、日本の課題解決、すなわち「ジャパンソリューション」につなげていこうと考えている。 六点目は、グローバル経営である。海外展開は、日本国内でヒットした商品の金型をアメリカやヨーロッパに持って行って、製品を生産したことがはじまりである。中国、アメリカ、オランダ、フランス、韓国の工場では、現地生産・現地販売、すなわち地産地消を心がけている。今後は、収納用品だけではなく、家電についても、海外で生産・販売していこうと考えている。 二つ目の要因は、ビジネスチャンス優先の変化対応の経営であり、その特徴も六点ある。 一点目は、稼働率七十%の余力経営である。三年前に大河原工場を増設し、物流機能を移したことにより、角田工場に余裕が生まれ、マスクを生産することができた。製造業であれば、九十%から百%の稼働率を目指すのが普通であるが、稼働率にある程度の余裕を持たせることで、市場が変化したときに、増産に対応できたり、新しいことを始められたりすることから、余裕を残した中での設備投資を進めている。 二点目は、新商品比率五十%以上の経営である。毎年、新商品を千点以上発売している。 三点目は、プレゼン会議でのトップによるジャッジである。毎週月曜日に会議室で三十件から四十件の案件をトップがジャッジして、発売していくという流れでやっているため、他社に比べるとかなり早いスピードでの商品開発が可能となっている。 四点目は、オーナー経営による長期的視点に立った経営である。 五点目は、ICジャーナルによる情報の共有である。ICジャーナルはいわゆる日報のことで、様々な社員が当日の出来事や報告したいことを書き込むことになっており、どんな商品が売れているかといった情報など世界各地で起こっている情報を共有できるというものである。 六点目は、ビジネスチャンスがある商品への参入である。エアコンや大型家電は、物流がネックになったり、工事が必要になる点で、業界に参入できるメーカーが少ない。すなわち、マーケットが大きくて流通が遅れているという点でビジネスチャンスがあった。また、ミネラルウォーターは、店での売上げが少しずつ下がっていく一方、ネット通販での売上げが伸びているという状況に着目し、アイリスオーヤマの製造設備と物流力を生かし、ネット販売に参入した。 以上のような取組を行っているアイリスオーヤマは、国内のGDPが十三%しか伸びていない中、十年間で二・六倍の成長を遂げていると説明を受けた。 2 宮城県中小企業団体中央会(仙台市) 宮城県中小企業団体中央会(以下「中央会」という。)は、中小企業が組織する事業協同組合をはじめとする中小企業組合への支援等を通じて、地元中小企業の発展・振興を図るべく事業に取り組んでいる。 各業界団体から、中小企業におけるコロナ禍の影響について聴取したところ次のとおりであった。  (一) 宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合 宮城県全体の六月の宿泊人員は対前年比で二百五・六%だった一方、対前々年比では四十二・九%となっている。地域によっても状況が異なり、作並は対前年比六十二・四%、対前々年比では九・一%で十%に満たない一方で、ビジネス利用が戻ってきている仙台は、昨年比で五百三十六・七%、前々年比で五十一・五%となっており、他の地域と比較して高い数字となっている。このように、仙台市内のビジネス利用に関しては、若干の回復が見られるものの、そのほかの観光地、温泉地に関しては、まだまだ回復していない状況にある。  (二) 宮城県水産物商業協同組合連合会 パーティーや歓送迎会がなくなったことにより、ホテルや宴会場といった外食関係に卸売をしている鮮魚小売業の売上げが大きく減少する一方、巣ごもり需要により、御用聞きを始めた鮮魚小売業は売上げを伸ばしている。  (三) 宮城県生コンクリート工業組合 生コン出荷量は、平成二十五年度をピークに年々減少しているが、震災復興工事の収束によるもので、コロナ禍の直接の影響は少ない。しかし、コロナ禍の収束の見通しが立たない中、民間を中心とした建設投資の冷え込みが生コン需要にも響くことが懸念される。  (四) 宮城県印刷工業組合 これまで組合員に新型コロナウイルス感染症に係る影響についてアンケートを実施しており、最新のデータでは「極めて大きく影響」又は「大きく影響」と回答した組合員が全体の約五十五%に上っており、約一年前の八十四%に比べて改善はしているものの、依然として厳しい状況が続いている。コロナ禍によりイベントやコンサートに関する仕事が激減して売上げが落ち込むとともに、情報発信の方法が紙媒体からSNSに大きくシフトしていることも紙の印刷という部分では大きな影響を受けている。このような状況の中、印刷業界は、これまでの製造業体質から脱却し、付加価値を上げるための「業態変革」、「生産性向上」、様々な人材を採用・育成するための「働き方改革とダイバーシティー経営」、「DXへのチャレンジ」、「企業間格差の拡大」といった課題を乗り越えなくてはならない。  (五) 協同組合仙台卸商センター 令和二年度の事業収入は全体で対前年度比七十六・一%となっており、流通業界の状況を反映したものとなっている。事業別で見ると、産業見本市展示場事業が対前年度比六十二・四%と減少が顕著である。組合員の全体景況感(DI値)については、令和元年十二月から令和三年五月までの調査期間中、前月よりも好転した月はひと月もなく、特に悪化したのが令和二年二月、三月、四月と令和三年一月だった。組合の扱い品目別影響について、スーパー及び一般小売店向けの食料品卸は比較的影響が少ない一方、飲食専門店、ホテル及び旅館向けの食料品卸は特に影響が大きい。繊維関係についても、大きな影響を受けている。建設関係については、影響は中程度である。  (六) 仙台トラック事業協同組合 巣ごもり需要で宅配便の需要が拡大している反面、中小企業間の物流の需要が落ち込んでいる。その結果、運賃や料金の引下げ圧力が出てきており、燃料価格が上がってきたことも相まって厳しい状況にある。 また、中央会からは、委嘱している各業界の情報連絡員からの報告(令和三年六月分)で、ワクチン接種が進むことでの経済回復やGoToキャンペーン再開への期待の声が聞かれる一方で、酒造業界では出荷数量が大きく落ち込んだ令和二年六月の出荷数量にも届かなかったという声も聞かれるなど依然厳しい状況が続いていることや、事業者に対し、雇用調整助成金、持続化給付金、家賃支援給付金、固定資産税・都市計画軽減特例制度及び一時支援金の申請手続等の相談対応等支援を行っていることについて説明を受けた。四 県外調査 1 公立大学法人会津大学(福島県会津若松市) 公立大学法人会津大学(以下「会津大学」という。)は、国際化、高度情報化社会が進展する中で、コンピューター理工学に特化した大学として平成五年に開学した。毎年二百四十人が入学するコンピューターサイエンス領域では日本最大の大学であり、就職率は百%を誇る。また、大学発ベンチャーは三十九社で公立大学では一位である。 会津大学では、成長産業であるICT産業を通じて、産業振興・雇用創出を図るとの方針の下、復興のための産学官連携を行っており、企業や行政機関と会津産学コンソーシアムを組み、様々な事業に取り組んでいる。事業を行う際、全体の管理を大手企業に任せる場合もあるが、共同企業として必ず地元企業を参加させるようにして、スキルが地元に残るようにしている。また、産学連携のためのデータセンターとして先端ICTラボ(以下「LICTiA」という。)をつくり、学内だけでなく企業も使用可能としている。LICTiAでは、多業種が参加する会津オープンイノベーション会議(AOI会議)を開催し、様々な企業や業種が集まり、ソリューション開発を行っている。令和三年一月に、LICTiAは地域オープンイノベーション拠点として経済産業省の認定を受けた。リカレント教育にも力を入れており、「女性のためのITキャリアアップ塾」を開講し、福島県内の女性を対象にeラーニングでIT技術を身に付けてもらう取組を行っている。その他、ロボット開発を行うプロジェクトにおいて、ロボットを動かすためのソフトウェアを開発したり、地域密着型のAIの研究を行ったりしている。 スマートシティーの取組については、スーパーシティーを見据えたスマートシティーの取組を平成三十一年に開所されたスマートシティAiCT(以下「AiCT」という。)に入居する企業と協力して取り組むこととしている。会津大学は入居企業の八割と連携実績があり、会津大学があることが企業の移転の動機にもなっており、企業誘致という点でも会津大学は貢献している。 2 アクセンチュア・イノベーションセンター福島(福島県会津若松市) アクセンチュア・イノベーションセンター福島は、東日本大震災後の平成二十三年から、会津若松市及び会津大学との連携協定に基づき、将来に向けた持続可能な街づくりを目指し、スマートシティー計画を策定するとともに、DXをベースにしながら各種プロジェクトを推進してきた。 会津若松市に人や企業が集まる理由をつくり、関係人口を増やしていこうとするところから取組が始まり、平成三十一年にAiCTが開所されると、すぐに入居企業で満室になった。AiCTが開所された理由の一つは、東京からAiCTに企業が移転することで、会津大学の学生が、東京に行かなくても当該企業に就職できるようになるということである。給料は東京と会津若松市とで変わらない上、会津若松市の方が可処分所得は高く、通勤や家賃に悩まされないで済み、取り組むプロジェクトは東京よりも新しい先端のスマートシティーということで、東京に行く理由がなくなる。このようなことを地方で立ち上げていければ、おのずと東京一極集中が是正され、地方分散が進む。 例えば、仙台には、国立大学法人東北大学を卒業した学生が働きたいと思う企業があまりない。よって、東北六県から集まった優秀な学生が、首都圏に就職してしまうため、東北の発展には寄与しないこととなる。したがって、世界トップクラスのプロジェクトを地方で立ち上げて、東京から地方に企業が移転して、その企業がその地域で頑張ることによって、その地域の大学生が東京には行かずに地元に残るという仕組みをつくる必要がある。 会津若松市で取り組んでいるスマートシティーは、人間中心の地域DXである。これは、市民が主体的な同意・参画(オプトイン)の上、地域(ローカルマネジメント法人)に、電気使用量や購買履歴や健康といった自分のデータを提供すると、その人用のサービスが受けられるというものである。 これまでのビジネスモデルは、市民と企業の「二方良し」のモデルであった。会津若松市で取り組んでいるのは、市民と企業の間に地域が入る「三方良し」のモデルである。市民は、地域が良くなるために自分のデータを提供し、それに基づき、企業は、地域や市民にとってより良い新しいサービスを提供する。これにより、地域・市民・企業にメリット・納得感が得られるというものである。五 総括・提言 これらの調査結果を踏まえ、本委員会は「新型コロナウイルス感染症の影響における地域再生・活性化対策の課題及び諸施策」について、次のとおり取りまとめた。 1 観光戦略について  (一) 県内の観光地の情報を発信する際には、見る人の目を引くようなありきたりではない画像を紹介するなど、従来のイメージにとらわれない発信方法を検討すること。  (二) ワーケーションは、観光だけではなく、仕事、地域、移住・定住及び子どもの教育など様々な分野に関係してくるものであることから、推進に当たっては、各担当課が縦割りではなく連携して取り組むこと。  (三) ワーケーションにおいて、通信環境の良さがアピールポイントとなることから、協議会と連携しながら、県としても通信環境の良い施設にお墨付きを与えるような認証制度の創設を検討すること。 2 DXの推進について  (一) DXを進めるに当たっては、DXが「目的」ではなく「手段」であるという考えに立脚し、県民が主体的に同意・参画することで、利便性や納得感を実感できるような取組をすること。  (二) 自治体のDXを推進する責任者になるようなDX人材が極めて不足していることから、県と市町村がそうした人材を広域でシェアするような仕組みを構築するなど人材確保対策を検討すること。 3 企業誘致について 本県は、東北六県から進学等で人が集まっても、卒業後、首都圏に就職してしまうという現状があることから、学生が就職したいと思うような魅力的な企業の誘致を進めること。例えば、コロナ禍で、IT関連企業を中心に地方への移転の動きが見られることから、そうした企業をターゲットにするなど地域の活性化に資する企業誘致を進めること。 4 コロナ禍における中小企業等の支援について  (一) コロナ禍により苦境に立たされている中小企業等が依然として多く、収束の見通しも立っていないことから、引き続き必要な支援を行うこと。  (二) コロナ禍において業績を伸ばしている業種や企業等の取組等を分析し、業績が悪化した業種や企業等への支援に生かすこと。  (三) コロナ禍の中、中小企業等は、業態転換や生産性向上、デジタル化等に迫られていることから、啓発活動や支援を行い、事業の維持・発展につなげること。 以上、これらの提言が今後の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。  令和三年十一月十九日       宮城県議会地域再生・活性化対策調査特別委員長 佐々木功悦 宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(菊地恵一君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。-----------------------------------議会運営委員の選任 ○議長(菊地恵一君) 日程第六十二、議会運営委員の選任を行います。 議会運営委員の選任につきましては、宮城県議会委員会条例第七条の規定により、お手元に配布のとおり指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、さように決定いたしました。……………………………………………………………………………………………    議会運営委員名簿                     令和三年十一月二十四日(水)    佐藤仁一君   村上久仁君   庄田圭佑君    天下みゆき君  太田稔郎君   横山のぼる君    佐々木賢司君  菅間 進君   村上智行君    中山耕一君   安藤俊威君   中沢幸男君----------------------------------- △常任委員の選任 ○議長(菊地恵一君) 日程第六十三、常任委員の選任を行います。 常任委員の選任につきましては、宮城県議会委員会条例第七条の規定により、お手元に配布のとおり指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、さように決定いたしました。……………………………………………………………………………………………    常任委員名簿    第三百八十一回宮城県議会(十一月定例会)令和三年十一月二十四日総務企画委員会(十人)      八島利美君      天下みゆき君      横山のぼる君      守屋守武君      佐々木幸士君      熊谷義彦君      ゆさみゆき君      石川光次郎君      安藤俊威君      中沢幸男君環境福祉委員会(十人)      金田もとる君      小畑きみ子君      石田一也君      渡邉重益君      高橋宗也君      佐々木賢司君      菅間 進君      高橋伸二君      佐々木喜藏君      中山耕一君経済商工観光委員会(九人)      伏谷修一君      三浦ななみ君      わたなべ 拓君      境 恒春君      高橋 啓君      渡辺勝幸君      伊藤和博君      菊地恵一君      藤倉知格君農林水産委員会(十人)      松本由男君      柏 佑賢君      瀬戸健治郎君
         村上久仁君      三浦一敏君      太田稔郎君      坂下 賢君      吉川寛康君      村上智行君      畠山和純君建設企業委員会(十人)      福島かずえ君      佐藤仁一君      伊藤吉浩君      庄田圭佑君      佐々木功悦君      遠藤伸幸君      横山隆光君      岸田清実君      本木忠一君      仁田和廣君文教警察委員会(十人)      佐々木奈津江君      福井崇正君      大内真理君      枡 和也君      櫻井正人君      遠藤隼人君      外崎浩子君      池田憲彦君      渡辺忠悦君      中島源陽君-----------------------------------予算特別委員会の設置 ○議長(菊地恵一君) 日程第六十四、予算特別委員会の設置を議題といたします。 お諮りいたします。 県予算を審査または調査するため、議員全員で構成する予算特別委員会を別紙要綱案により設置することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、さように決定いたしました。……………………………………………………………………………………………    予算特別委員会設置要綱(案)第一条 県予算を審査又は調査するため、宮城県議会に予算特別委員会(以下「委員会」という。)を設置する。第二条 委員会は、議員全員をもって構成し、委員長及び副委員長は、委員会において互選する。第三条 委員会の円滑な運営を図るため、委員会に理事会を置く。2 理事会は、委員長、副委員長及び理事をもって構成する。3 理事は、委員会で選任し、十二人とする。4 理事会は、委員長が招集する。第四条 委員会に六分科会を置く。2 分科会は、現に設置されている常任委員会の委員をもって構成し、県予算のうちその所管事項に関する部分を審査又は調査する。3 分科会に主査、副主査及び主査職務代行者を置くものとし、主査には常任委員長、副主査には同副委員長及び主査職務代行者には同委員長職務代行者をもって、それぞれ充てる。第五条 委員会は、設置の日から翌年の最後に招集される定例会の開会日の前日まで存続し、閉会中も審査又は調査を行うことができるものとする。第六条 この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、理事会に諮って委員長がこれを定める。…………………………………………………………………………………………… ○議長(菊地恵一君) あらかじめ会議時間を延長いたしておきます。 議会運営委員会、各常任委員会及び予算特別委員会の委員長及び副委員長互選のため暫時休憩いたします。    午後三時休憩-----------------------------------    午後四時十分再開 ○議長(菊地恵一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 御報告いたします。 議会運営委員会、各常任委員会及び予算特別委員会の委員長及び副委員長は、互選の結果、次のように決定いたしました。    議会運営委員会      委員長   村上智行君                 副委員長  庄田圭佑君    総務企画委員会      委員長   守屋守武君                 副委員長  八島利美君    環境福祉委員会      委員長   高橋宗也君                 副委員長  渡邉重益君    経済商工観光委員会    委員長   渡辺勝幸君                 副委員長  わたなべ 拓君    農林水産委員会      委員長   村上久仁君                 副委員長  柏 佑賢君    建設企業委員会      委員長   遠藤伸幸君                 副委員長  横山隆光君    文教警察委員会      委員長   遠藤隼人君                 副委員長  福井崇正君    予算特別委員会      委員長   中島源陽君                 副委員長  坂下 賢君 以上のとおりであります。----------------------------------- △散会 ○議長(菊地恵一君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後四時十一分散会...